まじょよったりはひがしより

◆1話 ◆

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沼の魔女

 
【サヤの家】

サヤ  というわけで。 「春さん、このページ見てみたいんだけど〜。教えて。」

WC  いきなり夜に。

サヤ  「っていうか、見せて?」

WC  脅迫。

平太  (笑)

春乃助  「うん? いいよ、待っててね。」

かちかち…

春乃助  「これでいいかい?」

サヤ  どんなページ?

WC  『都市伝説』とタイトルが打ってある、そっち系の総合情報ページですね。
色々な都市伝説のデータコンテンツと、同好の士へのリンクがたくさん。

サヤ  「最近へーたんの友達とか、こういうの興味あるんだって〜。」

春乃助  「へー。面白いなー。…ううん…犯罪を語る上では、こういう『うわさ』も無視できないからね…」

サヤ  「『沼の魔女』とか、『夕顔』とか出てくる話あるかな〜?」

春乃助  「まってね、ぬ・ま・の・ま・じょ、と。…検索では、ヒットしないね。ゆ・う・が・お、はどうかな…。」

サヤ  「今日、お買い物行ったときにそんな話聞いたんだけど。 詳しくはわかんなかったの。

春乃助  「…ううん、ないねえ。どんな話?」

サヤ  「えっと、きれいになりたいって思ってた女性が、沼のほとりに咲く夕顔に血を与え続けたんだって。」

春乃助  「ふぅん…今も昔も女性は女性…か。」

サヤ  「そうそう。で、その夕顔に美しさを閉じ込めて、また、他の醜い女性がその夕顔を食べたら、どんどん美しくなった〜とか。」

春乃助  「おお、カニバリズムだね。」

サヤ  「かにばりずむ??」

春乃助  「ああ、うん、原始宗教なんかでよくあるんだけどね。
例えば、足の悪いものは、他の動物の足を食べると、足が良くなる、とか…頭が良くなるには脳を食べるのが良い…とか。 」

サヤ  「うぅ。なんか想像しないようにしないとね…。」

春乃助  「とにかく、自分の体の欠けていたり、強くしたかったりする部分を、他の動物の同じ部分を食べることで補完しようって言う考え方。
この場合は、他人の『美しさ』を、『食べる』ことで自分のものにしたわけだろう? そういうモチーフの話かもね。食人とか。」

サヤ  「へ〜。そっか。じゃ、特に都市伝説ってわけでもないのかなぁ。」

春乃助  「都市伝説…というよりは、神話のようだね。
まあ、多かれ、都市伝説も都市を舞台にした神話なわけだけど。」

サヤ  「うんん〜。ちなみに「魔女」とかでも、それっぽい話って出てこない?」

春乃助  「魔女、ね…ま・じ・ょと…」

WC  凄いヒット件数…

春乃助  「ずいぶん多いね。これは、どうやって探そうか? 
…ちなみに、ぬ・ま、と。…こっちも多いなー。なになに…『河童淵』『死体の沈められた沼』…昔話と怪談のごった煮だなこりゃ。」

サヤ  「なんだろう? 『老婆』とかも多そうだよね。あきらめようかな〜。」

春乃助  「老婆か〜多そうだね。高速ばばぁ 高速道路を走る車のドライバーが、ふと窓の外を見ると、老婆と目が合う。
あわててよく見ると、その老婆は、なんと、時速100kmで走行する車に、二本の脚で併走していた…
やはり様々なバリエーションを持つ都市伝説の1つであり、類似のものに「ジャンピングじじい」などがある。
、とか僕でも知ってるもんな。」

サヤ  「うん。そだよね。あとは…『4人の魔女』とかないよね?」

春乃助  「4人の魔女…ね。…おっと、1件ヒット。」

サヤ  「どんなの?」

春乃助  「
『赤い魔女・青い魔女・白い魔女・黒い魔女。
4人の魔女が、誰が一番優れているかを争った。 
ある町で殺し合い、一人は首を飛ばされた。
西の町で殺し合い、一人は腹を割かれた。 
あなたの町の中で見つかった女性の変死体。
それは魔女かもしれないのです…』

って、なんだこりゃ? 子供の作る怪談話みたいだな。オチもないし、文章もよく分からない。」

サヤ  「そだね…。沼とかは全然関係ないかぁ。」

春乃助  「だいたい、なんだい、この中途半端さは。
4人いて、3人死んで残りは一人、なら分かる。全滅でもまだ分かる。」

サヤ  「2人しか殺されてないね。」

春乃助  「そう。なぜ2人残すんだ? この話、ぜんぜん『終わってない』じゃないか。」

サヤ  「え? それはさ〜、まだ続くって事かな。」

春乃助  「まあ、そういうことなのかな。」

サヤ  「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん。 
そういえば、前に春さんが言ってた、女性の変死体の事件って解決した?」

春乃助  「変死体? ああ、どうなったんだろうな…」

サヤ  話それてきちゃった。完全に ミスディレクション ミステリなどで用いられる技法の1つ。
トリックを暴く為の情報を提示する際などに、「間違っているがたどり着きやすい解決」を示唆する情報をあえて混ぜ込むことで、読者(探偵役)を真相とは違った方向に導くこと。
にはまっているのかしら? わたし。

春乃助  「僕にはあまり関係のない案件だからね。」

サヤ  「そうだよね…。うん。わかった。ありがとうね〜。」

春乃助  「うん。」

サヤ  「もしまた気になることあったらお願いするね〜。」

春乃助  「そうだ、平太から何か聞いてないか?」

サヤ  「まだ、消息不明だって…。春さんはどう?」

春乃助  「そうか…こまったな。うーん、目撃証言が取れないんだよ。どうも、目立たない子だったみたいで。
習い事や塾なんかもやってないみたいで、大人との付き合いもないし。高校の、知人からしか追えない感じなんだよね。正直、平太が頼み、なんだよな。」

サヤ  「なるほどね。でも、高校の方も微妙みたいよ。ま、またへーたんにも聞いておくね。」

春乃助  「ああ、たのむよ…」
 
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