まじょよったりはひがしより

◆1話 ◆

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怪異から数日たち

 
〜7月8日(火)〜
【探偵事務所】

WC
  さて、次の日のことだ。
サヤは、旦那の探偵事務所に行くか?

サヤ  行くよ。掃除しに。

WC  と、昼を回ったころだろうか、来客を知らせる呼び鈴が。

サヤ  「は〜い。」 とドアを開ける。春さんいないの?

WC  開けると、そこには、40がらみの、会社員風の男が立っている。
折りしも、春之助は、御用聞きに出かけているところだ。

サヤ  「こんにちは。ご依頼の方でしょうか?」

 「え、ええ…その、なんというか…そんなもので…」

WC
  もともとこういう場所は、普段から一般人が訪れる場所ではない。ドモるのも止む無し。

サヤ  「あいにく責任者が外出しておりますが、 お時間よろしければ中で待たれますか?」

  「え、ええ。そうですね、しかし、お留守というのであれば、ええ、その…」

サヤ  春さん携帯持ってる?

WC  当然のこと。紳士のたしなみ的に。

サヤ  「とりあえず、連絡を取ってみますので。 暑いでしょうから、どうぞ。中でお待ちください。」
というわけで、待つなら春さんのケータイに連絡しますよ。

 「あ、ええ、そうですね、暑いですか、ええ。はい。」

WC  顧客との会話中は電源切ってる。紳士のたしなみ的に。

サヤ  んじゃ。留守電に。

WC  男は、サヤの笑顔に半ば引きずられるように相談室のいすに腰掛ける。

サヤ  留守番電話には切り替わるよね。紳士のたしなみ的に。
麦茶出すよ〜
「はい、どうぞ。」

  「あ、どうも、いえ、お構いなく…」
男は、きょろきょろと辺りを見回している。

サヤ  「くす。すみません。狭いところでしょう?」

  「あ、いや、そんな、なにぶん、こういうところは初めてなもので…
普通に暮らしておれば、ご厄介にはなりませんし…」

サヤ  「いえ、そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。」

  「あ、ええ、はあ、そうですね、はい。」

サヤ  「あ、ご挨拶が遅くなりました。 私は川原沙夜と申します。」

  「あ、これはその、失礼しました!」

WC  根が真面目な会社員なのだろう。男は慌てて立ち上がると、名刺を取り出す。

  「私は、田口康之と申します。」

WC  それなりにちゃんとしていそうな会社の名前と、課長という肩書き。
男の印象にはたがわない名刺が、サヤに差し出される。

サヤ  「ご丁寧にどうもありがとうございます。」

WC  と、そのとき、事務所の電話が鳴る。

サヤ  「えっと、すみません。」

WC  ずぎゃぎゃぎゃ!(電話の音?)

サヤ  といって電話をとります。
 「はい。川原探偵事務所です。」

春乃助  「あー、サヤ?」

サヤ  「春さん?」

春乃助  「ああ、でね。いま、ちょっと、県外まで出てるんだよ。
北野の奥さんに相談受けてるうちに、奥さんの別荘の周りの不法投棄についての話になっちゃってさ…
で、申し訳ないんだけど、そのお客さんの、お話だけ聞いておいてくれないか?」

サヤ  「はい。わかりました。」

春乃助 「受ける受けないは、君のほうで判断してくれてかまわないし、判断が手に余ると思ったら、後日連絡するということにしてくれても良い。」

サヤ  「ええ、そうする。」

春乃助  「守秘義務があるから、最悪、手に余ると思ったら、途中でお断りしてくれ。できるだけ早く帰るよ。

サヤ  「わかりました。気をつけて。」

春乃助 「じゃあね。」

WC  と、電話は切れます。
 
サヤ  では。田口さんの向かいに戻って
 「すみません。外出からまだ戻れそうもないんですよ。よろしければ、私が代わりにお話を伺います。」

  「ええ、その、そうですね、はい…」
普通なら、身分も定かでない相手にこの類の話はしないはずだが よほど、精神的に余裕がないのだろうか、男、田口康之は
「では、聞いていただけますでしょうか…」

サヤ  田口さんの様子を<フィール>で探るのはありですか?

WC  どんなことを? もう少し具体的に。
ちなみに、「フィール」は直感です。あくまで、感覚的なことに特化します。 冷静な観察ならむしろ「クレバネス」をお勧めします。

サヤ  話しているときの様子。というか、挙動不審っぷりというか?たぶん、<クレバネス>と<フィール>と両方。
でも、もう少し話してくれてからでもいいよ。 

WC  人間性とか、信頼感とか?

平太  人となりチェックかー

サヤ  そんな感じ。

WC  この男は、「虚言壁(CP−15)と、精神分裂症(CP−20)を持っている。」みたいな。

サヤ  あはは。それ分かりすぎるのはイヤだな〜

WC  「子供のころ、川でおぼれたせいか…千と千尋の神隠しをみて、爆泣きしたことがある(CP−1)」とか…
では、話を進めます。

  「うちの、一人娘がですね、今年、17になるのですが…
ええ、もう5日になりますが、家に、帰っていないので…
親として、心配でして、ええ…
それでまあ、その、こちらにお願いしたいことというのが…」

サヤ  「5日ですか。それは心配ですねぇ。」

  「なんというか、お恥ずかしいのですが…」

サヤ  「警察には届けました?」

  「ええ、いえ、その、警察はですね、色々と、その外聞もね…嫁入り前の娘ですし…
それに、まだ、ええ、その行方不明と決まったわけでも…こちらに伺ったのも、まずは、ご相談というか…」

サヤ  「ご連絡はない、ということですよね?」

  「ええ、はい。

サヤ  「こちらからも携帯につながらない
ご友人の方はいかがですか?

WC  「そうですね。ええ、携帯は、通じません。
学校のほうにも、行っていないようですが…こう、おおっぴらに聞きまわったりしますと、その、人の口には戸が立たないと申しますか…
その、女性の方ですし、お分かりでしょう?」

サヤ  「ではご友人にはまだ聞いていないということですね? 失礼ですが、以前からよく外泊されることがあったんですか?」

WC  あれ、そういえば、へーたは、私立の、レベル低いほうだったっけ?

平太  そそ。 スポーツ推薦でいった。

WC  おけー。予想外に。

  「ええ、まあ、お恥ずかしいことですが…その…」
交友関係が広いせいか、夜、家を開けることも…それなりに…ええ。」

サヤ  「でも、5日間も連絡なしで連続していることは今までなかった。という事ですね?」

  「そうですそうです! はい、それでね、私どもも、親ですから、心配で、ねえ…」

サヤ  「学校はどちらですか?」

  「ええ、恥ずかしながら…その【昭栄学園高校】に、はい、通わせております…」
と、へーたの通う私立と同じ高校名を挙げる。

サヤ  やっぱり<クレバネス>で。
その人の容姿とか着ているものの値段とか。あとは、しぐさ・くせの観察。

WC  では、ここまでの会話で十分と思うので、判定をどうぞ。

サヤ  「あぁ。あちらの高校ですね。」
ちなみに Bケアフル☆7で。ですが、サイコロの目が0なので… クレバネス分の6で。

WC  スーツはアルマーニの一点もの。顔はヨン様を渋くした感じ。 癖は逃亡癖。

平太  最後のはなんだ(笑)

サヤ  むかつくな〜、このオヤジ。 というプレーヤーの気持ち。サヤではありません。

WC  などという個性的な感じではなく。 没個性が個性、という感じだろうか。

サヤ  なにぃ!

WC  スーツは、つるしではない。オーダーものだが、デザインはきわめて凡庸。
容姿なども印象に残るものではない。
こう、平々凡々、ひとに頭を下げることで小金をためてきた 中流階級、といったところか。
癖といえるのかどうか、まず頭を下げるところから会話がはじまる。
といった、まあ、普通にわかること程度は、わかった。

サヤ
  「娘さんのお名前を伺ってもよろしいですか? それから、着ていた服の特徴・よく行くお店や場所・あとお友達の連絡先など…」

 「と、言うことは、その、娘の捜索をやっていただけると…」

サヤ 「ええ。やらせていただきます。」

 「で、その、ご料金のほうは、どれほどに…」

サヤ とりあえず、さやが知っている料金体系を説明する。

 「なるほど…まあ、適正な、料金なのでしょうね…ええ。
では、娘のことでしたね…、名は、美紀といいます。田口、美紀です。
こちらが、生徒手帳のコピーと、それから、最近の写真です。」

WC と、1枚のコピー用紙と、平凡な顔立ちに派手めなメイクを載せた少女の写った写真を取り出す。

サヤ その他必要な情報はいただいたということにしてしまっていいのかしら? 住所・電話番号・交友関係とか。

 「その、帰らなかった日は、制服で家を出たのですが…夜にかかって友人のところに行くときは 私服を持ってゆきますし…
私ども、子の自立心というか、プライベートも尊重したいと思っておりまして… 家庭でも教育方針も、その、そういうものですから…
美紀の、友人関係や、その、出かける場所など、ですか? そういうものには、あまり、心当たりが…ええ、申し訳ないのですが…
ですから、こう、そちら様のような、プロの方に…」

サヤ 「奥様は今回調査されることはご存知なのですか?」

 「ええ、それは、はい。存じております。
ですが、家内は、家のこと以外はわかりませんし…お話されても、特には…」

サヤ 「家の中のことだけでも結構です。もしかしたら、今後奥様にもお話を伺うことが あるかもしれませんが、よろしいですか?」

 「え? …ええ、まあ、仕方ない、ですかな。
ですが、先ほど見せていただいた、契約内容の約款には、その類のことは書かれていなかったと存じますが…」

サヤ 「調査に必要な範囲内でご協力いただければ結構です。

WC まあ、細かいいちゃもんつけて、料金安くさせようとしてるだけだろうか。そんなイメージ。

 「ええ、はい、いえ私どもも、調査にご協力しないなどということは…むしろ、お願いしているのは私どもですし…ええ。」

サヤ 「それから、娘さんに最近何か変わった様子はありませんでしたか?些細なことでもかまわないのですが?」

 「かわった、ですか…うん…そうですね…特には、なかったと…ええ、ありませんでした。ええ。」

サヤ 「わかりました。ありがとうございます。 では、こちらで調査をさせていただきます。」

 「ええ、では、すみませんが、よろしくお願いいたします。」

サヤ 「はい。お引き受けいたします。」

WC 田口康之は、契約書類に必要事項を記入すると、 頭を下げながら帰っていった。

サヤ ふぅ。春さん結局帰ってこなかったな。

WC ですね。
 
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