まじょよったりはひがしより

◆1話 ◆

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波うつ箱の家

 
WC  みっくみくにしてやんよー(着信音)。

平太  「あれ? もしもし?」

???  「あ、大門さん、ですか?」

平太  「ん?そだけど…だれ?」

比嘉 「私、比嘉です。比嘉由良。」

平太  「ああ、こんちは。どしたの?」

比嘉 「ええと、ちょっと思い出したことがあったので。」

平太  「うん。」

比嘉 「結城さんへーたの友人『結城 八代』のこと。に電話番号聞いて、かけました。」

平太  「なんかわかったことあったの?」

比嘉 「あの、美紀ちゃんのことなんですけど、いなくなる前に、『波うつ箱の家』って言ってたこと、思い出して。」

平太  「え?…そこに行くって?」

比嘉 「ええと、正確には、沼の話をした、次の日のことなんですけど、『波うつ箱の家の魔女を見た』って、興奮して話してくれて…
それだけ、なんですけど…。すいません…。」

平太  「魔女ね…それって、沼の魔女ってことかな…」

比嘉 「さあ…それは…」

平太  「沼の魔女を見つけて、都市伝説が正しかったっておもったのか…」

比嘉 「そうかもしれないですね…」

平太  「情報ありがとね。」

比嘉 「あ、いえ、あまりお役に立てなくて、すいません。では、あまり長くなってもご迷惑なので…失礼します。」

平太  「うん いえいえ、また何かあったら気にせずれんらくして。」

比嘉 「はい。では。」

WC  ぷー、ぷー…

平太  「うーん…」

サヤ  「またともだち?」

平太  「比嘉さんから。」

サヤ  「へー。何か思い出したって?」

平太  「なんか、『波うつ箱の家』で魔女を見つけて興奮してたんだって。
『波うつ箱の家』って段ボールハウスのことだよね、きっと?」

サヤ  「そうなの? …そっか。へ〜。」

平太  「ちょっとまって…」

サヤ  「うん。」

平太  文に電話する。

文彦  「はいはい仮定法〜」

平太  「おー。休日にもかかわらずがんばってるな。」

文彦 「八代がね。うん。」

平太  「ちょっと聞きたい事があるんだけどさ。」

文彦 「おうおう。おにーさんに聞いたんさい。」

平太  「公園のホームレスって、女の人?」

文彦 「うん?」

平太  「なんか、『おれのばあさんでもないし』とか言ってたよな?」

文彦 「おう。そよ。ばあさん。」

平太  「おけ!それが聞きたかった。」

文彦 「なんか、東の町から流れてきたって。…気の毒だよなー。」

平太  「いつぐらいの話かわかるか?」

文彦 「だれか、ちゃんと養ってくれる家族とか…うん? …いつ、か? ちょいまってな。」

平太  「おう。」

WC  …

文彦 「…ほーい、おまたせ。多分、2週間くらい前かな。」

平太  「最近だよな…」

文彦 「だね。」

平太  「おけ、ありがと! 引き続きがんばってくれ!」

文彦 「ほいほい過去完了〜」

平太  ぷー…ぷー…

サヤ  「どう?」

平太  「うーん…話が重なり過ぎてるな…」

サヤ  「ホームレスと?」

平太  「『波うつ箱の家』とホームレスのおばあさん、沼、夕顔…」

サヤ  「うん。そうだね。」

平太  「これは、都市伝説聞いたらやってみたくなるわ。」

サヤ  「そ? でも食べるのは?」

平太  「うーん…食べただろうな、きっと…田口の話をきいてると…」

サヤ  「でも、勇気いるよね〜。」

平太  「雑草くって綺麗になれるんだったら、くうでしょ。おれは食わんけど。きれいになれる可能性があったら。
おれだって、右腕が治るっていわれたら雑草くうかもしれねーぜ。」

サヤ  「う〜ん、そうだね。どっちにしても、あそこの夕顔で試してみるのが一番かな。」

平太  「んだね…」

サヤ  そろそろお昼だよね。

WC  色々話したりしていたので昼は過ぎたと思うが。いかがする?

平太  「気になるのは、都市伝説だよな…」

サヤ  「どういう意味?」

平太  「有名じゃないんだよね…」

サヤ  「HPで見つけられなかったこと?」

平太  「うん それって都市伝説っていえるのか?」

サヤ  「なるほど。春さんは神話だって言ってたよ。」

平太  「そんな神話があるの?」

サヤ  「うんとなんだっけ?『かにばりずむ』とか言ってた。」

平太  「そのへんはよくわかんないや…まあ、伝説の基礎が存在しているっとことか?
 ま、とりあえず、夕顔を摘んで…森に入るか…」

サヤ  「うん。夕顔咲く時間に。」

WC  どんくらい摘む?根こそぎ?

平太  おなかいっぱいになっちゃう(笑)。 ひとつでいい気もするけど。1人1つ。 
 
WC  では、夕暮れ迫る薄暮。 沼を照らす斜陽に、一つ、また一つと、咲きほころびる夕顔の群生。 
公園をあとにする子供たちの声も遠く。遠くから、うなるように高速の音が聞こえてくる。

サヤ  「じゃぁ、きれいに咲いているのを選ぶね。」

WC  では、サヤは一輪。

平太  食べる用に、小さいの摘む(笑)。

WC  平太も一輪。

サヤ  「いちおう、リキの分も。」

リキ  「あうん!」

平太  じゃあ、森に向かおう。

WC  森は、夕日を背にして、赤く、暗く、燃え上がるように。9日前、怪異に襲われたときのように、静かに、不気味に、そそり立つ。どこの入り口?

平太  一応、段ボールハウスに近い方。だから、北かな?

サヤ  真ん中が一番ちかいのでは?

平太  あ、そだね。入り慣れた所を考えていた。真ん中から行く?

サヤ  美紀ちゃんがやったのと同じなら、真ん中の方が近いかな〜と?

平太  そだね、じゃあそこからいこう!

WC  では、夕顔の群生を背にして、森に踏み込みます。
昼とも、夜とも違う、ざわめくような薄暗さ。足元は見えるのに、夜の星明りより、ライトの明かりより、そこに何があるか捉えられない。
不思議な不安定感の中、進んでゆくと、50mも歩いたころでしょうか。道が、左右に分かれています。

サヤ  フィール。

WC  普通の?

サヤ  ううん。怪異探知スキル<星戟>のこと。。どっちがあやしいか? 
Eギャンブル☆5…6なので、5+8=13。

WC  道そのものは、どちらが怪しい、とも言い切れません。
ただし、確実に、『現(うつつ)に』あるべき道ではないはずです。侵入者を迷わせる意図が丸見え。

平太  入ったか。

サヤ  そういうことかな。

WC  ただし、右の道と、手に持つ夕顔が、かすかに引き合っているような。そんな感じが、します。

平太  呼ばれてる…段ボールハウスが一応あったっぽい方か…宝箱探しに左(笑)?

サヤ  そんな要素あったのか!

WC  いや、この時点で現実の地図とか方位は役に立ってない。リキはそう言ってる。

平太  だよね。おれもそう思う。

サヤ  とりあえず、右で大丈夫かな。一応ここでも美紀ちゃんの匂いを調べてみる?

平太
  うん。目的は田口さんだしね。

WC  くんくん、とリキは鼻を鳴らす。
どうやら、現(うつつ)ならぬこの場所では、現の『臭い』は、追えないようだ。

サヤ  そっか。じゃ、夕顔の引き合うほうに行ってみるしかないか。

平太  じゃあ、夕顔に導かれよう。

WC  と、右の道に進む。

平太  ほい。

WC  先頭だれ?

平太  おれ。

サヤ  匂いを嗅ぐならリキだろうけど。今は役に立たないもんね。

WC  と、平太の手に持つ夕顔が、一歩ごとに凋んでゆく。

平太  あれ? 普通に?

WC  10歩も歩かないうちに、カサカサに枯れてしまう。明らかに異常です。

平太  異常な感じだね…

サヤ  あれ〜?

平太  ちょっと警戒!

サヤ  っていうか、今は一本道?

WC   一本道ですよ。

平太  いきなりだよな…

WC  と、立ち止まって周囲を見渡すが、とくにおかしな気配はない。

平太  おれのだけ?

WC  君のだけ。

平太  これは… たいまつ 道を照らす道具。
時間が経つと徐々に照らせる範囲が狭まってゆき、最後には消えてしまう…というのが、名作RPGドラゴンクエストでの『たいまつ』である。
ここでは、予想した夕顔の花の効果を例えてこう言った。
か?

サヤ  うん。そうかも。あと2つしかないけど。足りるかな?

平太  急いだ方がいかもね。迷うよ。

サヤ  うん。

平太  ちょっとペースをあげます。急ごう!

サヤ  はい!

WC  と、急いで歩を進める君たちの前に、再び分かれ道が。今度も右と左だ。

平太  花に導かれるまま。

サヤ  そのと〜り。

WC  リキが、咥えた花をふんふんと振りながら、左の道にかけてゆく。

平太  おけ。

サヤ  行きます。

WC  その先で、やはり、リキの咥えた花が朽ちてゆく。

平太  うは。

サヤ  あと分かれ道1回でたどり着けるかですね。

平太  んだね…

WC  道は、左手側に大きくカーブしながら続いてゆく。
100mも歩いたころだろうか。三度、分かれ道が。

平太  ごーごー。

サヤ  どっちだぁ?

WC  サヤの手の中で、最後の花が左の道に向かって揺れる。

サヤ  左!

平太  うし!

WC  その手の中で、最後の花が、朽ちる。

平太  えらいこっちゃー。

サヤ  ほんとに。

WC  ぐんぐんと左にカーブしてゆく道の先、4つ目の分かれ道がやってくる。

サヤ  きました〜。

平太  右ひだり?

WC  そう。

サヤ  これは主婦ポイン使おうかな?

WC  主婦ボイン?!

サヤ  ちがう!!

平太  おー…安いモノは買いだめする主婦能力!

サヤ  そうそう、って失礼な!!

平太  (笑)。

WC  無料だかっらって往復して複数取得! その名も『ティッシュハンター』!

サヤ  でも、そういうこと。「実は」夕顔もいっぱい持ってきちゃってた。

WC  どんくらい? …根こそぎ?

サヤ  とりあえず、10本くらい?

WC  『1「本」の蔓には3〜20輪の花がつく。』?! 『輪』の間違いでなく?!

サヤ  あ、まちがえた。

平太  株でしょ!

サヤ  株!?…でもいいのか。

WC  根こそぎだよ。

サヤ  すごい量になるけど。

平太  やだ(笑)。

WC  余ったら食べろよ。残さず。

平太  それはさやねぇの美の探求心がすごすぎ(笑)。

サヤ  ずるずる引き摺って歩くんでしょ。

WC  なるほど、漢らしく女性なのだな。

サヤ  で、夕顔の花を食べながら歩くと。

平太  10輪でいいんじゃん(笑)。

サヤ  私キレイ?

平太  うーん、微妙(笑)。

WC  ポマードーーー!

平太 そっちの都市伝説 「私キレイ?」と声をかけてきた女性がマスクを取ると、その口は耳まで裂けており…最も有名な都市伝説の一つ「口裂け女」。
整形手術に失敗した女性である、10m以上ジャンプする、ポマード(整髪油)が苦手、などなど、様々なマイナーチェンジがされているが、誰もがその片鱗を一度は耳にしたことがあるだろう。
になっちゃうのね(笑)。

サヤ   じゃ、10輪で。

WC  では、エプロンのぽっけから新しい花がぞろぞろと。

平太  「すげ…いつのまに…」

サヤ  「キレイだったから、つい。」

平太  「しかし、ナイス!」

WC  しってるか?そういうこと言う奴、平安にもいてな。他人の家の桜の枝折って、持ってかえって処刑されそうになるんだぞ。

平太  はなどろぼー(笑)。

WC  花盗人、の方が風雅だな。

サヤ  持ち主が出てきたら謝る!

WC  いずれ盗人には違いないが、男らしいな。

平太  実際に他人の家の鉢から盗む奴がいるから、まあ野草なら…

WC  ちなみに、その男は、縛られたままで桜の美しさと世の儚さを謳う歌を詠んだら、聴衆が感じ入って無罪放免、なんだけどな。
曰く「花盗人には罪がない」と。閑話休題。

平太  花が罪なのか?

WC  まてー!そうともいえるかもしれないが!

サヤ  なるほど。それでいいと思う。

WC  いいのかー!

平太  ストーカーの言い訳だな。

WC  全くだ。
「愛してたんです。彼女が悪いんです。僕を無視してあんな男と…」

平太  最悪。

WC  さて、この道では、右に導かれます。

平太  大丈夫 「こんな事もあろうかと!」 名作アニメ『宇宙戦艦ヤマト』に登場する整備士某の言葉。
明らかに予想できないだろ、その状況!と言う様な物事に対して、なんと秘密マシンを作ってあったのだ!と、そんなシーンを視聴者に強引に納得させる力を持つ名ゼリフ。
だよ。そう言えば問題ない(笑)。

サヤ  はーい。

平太  みぎみぎ!

サヤ  はいはい。右ですね。

WC  一輪が朽ちる。道は、そのまま右に大きくカーブし、5つ目の分かれ道に。

サヤ  まだあるのね。

WC  此処では再び右に。

サヤ  右〜。

平太  これ、迷わせてるのが花だったらやだね。いまさらだけど(笑)。

サヤ  全くです。

WC  また一輪が朽ちる。道は、蛇行して、6つ目の分かれ道に。  

平太  でも、信じて。

サヤ  行くしかないでしょ。

WC  ここでは再び右に。

平太  右!

WC  3輪目が朽ちる。道は、大きく左にカーブし、7つ目の分かれ道に。

サヤ  長いなぁ

WC  花は、左に。

平太  全然たりなかったね。

サヤ  うん。 
 
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