まじょよったりはひがしより

◆1話 ◆

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波うつ箱の家

 
WC  しばらく歩く。…ふと、音が消える。
あれほど耳を聾していた高速の音も、森のざわめきも。

サヤ  警戒!

WC  静寂が支配する一瞬を抜けて。

平太  警戒しておくよー。

WC  広場に出ている。正面には、大きな木。

平太  段ボールハウス?

WC  その根元に、「波うつ箱の家」。

サヤ  お〜!? 来たね♪

平太  きたね…

WC  それは、昼間のみすぼらしい外見とは形を変えて。
破風、尖塔、バルコニーを備え、大木の中ほどまで届く威容を見せる。…「波うつ箱の『城』」。そう言っても良いかもしれない。

平太  すげーな…

サヤ  うん。

WC  ただしその入り口は、あくまで小さく、地に近く。昼と変わらぬ影を留めている。 
夕日は、血のように赤く、城を染め上げ。黒々とした影と、赤光がダンスを踊る。

サヤ  はいろっか?

平太  そだね…

WC  腰を屈めて入り口に近づく。 と、影の中に黄色くにごった光が二つ。

平太  さがるよ。

サヤ  うん。

WC  黄色い目。濁った、老人の目。老婆だ。

平太  「こんばんは…」

サヤ  「こんばんは。」

WC  老婆は、振り向き、戸口からのっそりと顔を出す。
その足元に、老婆には似つかわしくない、今風のローファーが見える。

平太  「高校生ぐらいの…って…」

WC  ローファーは、紺のハイソックスを履いた足に。足は、城の中の影に。繋がれている。

サヤ  「美紀さん?」

平太  「いや…」

WC  老婆は、どこを見ているのか分からぬ濁った目で正面を見つめ。
 「帰れええええ!」 と、奇声を上げる。

サヤ  びっくり!

WC  奇声に魂が軋む。2人ともブレイブ判定。目標値12!

平太  Aノーマル☆9…たりね、11。

サヤ  Dケアフル☆7。私もたぶんむり…9でたけど、6+5=11。 やっぱだめでした。

WC  それぞれ、1の「恐怖」 状態異常のひとつ「恐怖」。
行動の全てに、その強さに応じた不利な修正を与える。
。全判定に−1。

平太  「帰る訳にはいかない…高校生がここにきただろ?」

WC  ちなみに、足だけしか見えないので、美紀かどうかは分からんです。

平太  おけ。

WC  しかも、さっきので失敗してるので、そんなはっきりした意思はもてません。   怖いです。足が震えます。

平太  10分しないと 判定できない 状態異常『恐怖』は、10分程度(戦闘中なら1ターン)経過すると、それに「打ち克つ」判定を行える。
この判定に成功すれば、「恐怖」の影響から逃れられる。
しな…

WC  老婆は、打って変わって沈黙したまま。   
両手を差し上げてゆらゆらと森に向かって招くしぐさを行います。

カサカサ。

ブブブブブ…

平太  きた…

カサカサカサ。

サヤ  怖いけど〜、警戒。

ブブブブブブブブ。

WC  周囲の森から、どこかで見たような異形が這い出してきます。

平太  すこしずつ後ずさりするよ…

WC  葉を掻き分けて、蜂が。2匹。 下生えをかき分けて、蜘蛛が。3匹。

サヤ  多い!

WC  周囲を囲まれてしまいます。

平太  「さやねぇ…ここはいったん引こう。」

サヤ  「うん。」

平太  脱兎。

サヤ  引けるのか?

平太  逃げ道だけつぶす。

サヤ  な〜る。 
 
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