虚空の翼

◆2話 ◆

うつつにうつるはまぼろしの
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GRS
 
〜7月18日(金)〜

平太
  じゃあ、学校で。
ふみ 北村文彦(きたむら・ふみひこ)。
へーたの悪友。顔も頭も口もカルい高校2年生。
ニックネームは「文(ふみ)」。
、おーっす!」

文彦  「おはおはー。…お? ちょっと元気になったな?」

平太  「…なに?…まー…普通かなー?
 お、そうだ! 文、今度おごってやる。」

文彦  「なぜに? なに企んでる?」

平太  「たくらんでねーよ(笑)。
いや、いろいろ世話になったからな、情報収集。」

文彦  「あんなん。世話でも何でも。」

平太  「まあ、いつになるかわからんが(笑)。」

文彦  「んじゃま、奢りはおいといても、飯は食いに行こうぜ、近いうち。」

平太  「おお、いこういこう! 八代は元気?」

文彦  「ふつー。」

平太  「おけ(笑)。」

文彦  「今度模試があるんだよ…お前、受ける?」

平太  「おお…あったっけ?」

文彦  「受けないのね。」

平太  「うん。眼中というか…脳中にない。」

文彦  「まー良いんじゃね? お前は冒険家にでもなれば。」

平太  「冒険家かー…食っていけるかな〜。」

文彦  「むしろ食われるな。猛獣とか原住民とかに。」

平太  「じゃあ、やめた。」

文彦  「今度こそ 良い判定 各種予備校が実施する大学入試模試。
その結果から大学への合格率を判定した試験データを、高校生は一般的に「判定」という。
サイコロを振って行為が成功するかどうかを決める「判定」では、もちろんない。
だしたいよー。」

平太  おれファンブルばっかり。

サヤ  私も思った〜。

文彦  「EとかFはもう見たくないよう…。」

平太  「最近がんばってたじゃん。」

文彦  「EとかFで嬉しいのはおっぱいだけだよー。」

平太  「なんでもうれしいくせに、嘘ばっかり。」

通りすがりの女子  「文、サイテー。」

WC  ゆびわきわき。

平太  「さいてー(笑)。」

文彦  「さいてーじゃないよ。やってみればわかるよー。」 
…わきわき…

平太  「あーはいはい。じゃあ、八代に言っておくね。」

文彦  「指つった! いて、つった、指!」

平太  「わはは」
 
サヤ  じゃ放課後?久々里駅。

平太  切符を買って…八王子目指してごーごー。

サヤ  ごーごー八王子のどこか〜。

平太  サヤねぇについて行く(笑)

WC  八王子駅南口。15分ほど歩いたビルのテナント3階〜4階に、『GRS』の看板が出ています。
正確には、『 Geonicley Research Service 造語まじりではあるが、大意を訳すなら「地脈調査事務所」といったところ。 』ですね。

サヤ  とりあえず3階ですかね。

平太  おけ。

WC  エレベータで3階に上がると、降りたその場にフロントがあります。 お姉さんがいて、頭を下げます。

サヤ  「こんにちは〜。」

受付嬢  「どのようなご用件ですか?」

サヤ  「私は川原と申します。むろぶしさんと約束をしていたんですが。」

受付嬢  「はい、しばらくお待ちください。」

WC  声からすると、昨日の電話の人だ。

平太  きょろきょろ。

WC  周囲は、不動産屋のオフィスのような感じだ。

サヤ  「ここでれーさん働いてるんだね〜…なんか普通の会社みたいだよ。」

平太  「うーん…だねー…」

WC  事務員風の女性が何人か、PCの前にいる。また、スーツの男性が電話してたりするのも見える。
ざっと見て、フロア内にいるのは4人ほど。フロアは40m×40m程度の、結構広いオフィス。

サヤ  皆、なんかしら力持ってそうなのかな?

平太  能力者はわかるんだっけ?

WC  2人とも、「力の気配」はかすかに感じますが、誰が、という感じではないです。 あくまで、近くに気配があるな、程度です。

平太  いることはいる、くらいか。

サヤ  うむ。ま、いて当然ですよね。

WC  術者が本気で術を使う(属性が集まります)などすれば、もう少し気配がはっきりしますが。

サヤ  何か、向こうにも警戒させちゃいそう。

WC  そうでしょうねえ。 
そうこうするうちに…

  「おまたせしましたー。GRSの室伏ですー。」

平太  「こんにちは。」

  「こんにちは。」

サヤ  「こんにちは〜。忙しいのにムリ言ってごめんなさいね。」

  「ええてええて。うちな…」

WC  ジオニックレイリサーチサービス(Geonicley Research Service)。 
業務内容は、不動産関係の委託で、建物や土地の風水的な福相を判断したり、状況によってその改善を したりする「風水アドバイザー」な仕事。
その仕事柄、怪異の絡む揉め事や事件に対して、他者からの相談を 受けることも多く、いわゆる「拝み屋」的な仕事も行っている。
この場合、社員だけでは手が足りないことも多く、 あらかじめ、近辺に在住のその道の人々を、派遣会社のように「登録」しておき、その人材にとって最適な(社 報による表現)「仕事」を斡旋することも行っている。
この一環として、登録済みの「その道の人々」に各種道 具を販売したりもする。

  「ちゅうかんじの会社やねん。」

平太サヤ  「へー。」

平太  「占い師の派遣会社?」

  「どっちかいうと、建築コンサルの方が近いかな。おれも、建築士の資格とっとるし。
まあ、怪異周りの話は、一般の人には言えへん業務やけどね。」

サヤ  「ですよね〜。」

  「まあ、資格だけでまともな仕事はできへんけどね。」

WC  そのまま案内され、エレベーターで4階まで。

サヤ  「じゃあさ、お買い物させてもらうには『登録』しないといけないってことかな?それとももう登録済み?」

  「いや、同意のない人を登録はできひんよ。それに、外部の人にも販売できます。
ただ、メンバーズ価格っちゅうか、社割っちゅうか、登録してもろたほうがお安くはできるねんけど。」

WC  4階は仕切りでブースに分けられている空間です。その一つ、応接室みたいなブースに通されます。 
で、入り口の女の子がお茶持ってきます。

  「あ、どうぞ、そこ掛けてください。」

サヤ  「ありがとうございます。」

平太  「ども。」

WC  女の子は感じの良い笑顔で笑うと、出て行く。

  「さて、じゃあ、これ、カタログです。」

サヤ  「社員さんはみんな力ある人ばっかり?」

  「ん? いや、一般の事務さんと半々かなー?」

サヤ  「でも、怪異がからんでくる仕事があるってことは知ってるんだよね〜?」

  「そうやね。まあ、おれら、技術職のほうに、偏見持たずに協力してくれる得がたい人材ばっかや。」

サヤ  カタログ見ながら話してま〜す。

WC  カタログには、システムに載っているアイテムのうち、「 神意 この世に存在するのがあまりにも稀で、その存在に『神の意志』を感じずにはいられないほどの武器。
子烏丸天国、エクスカリバーなど。
」の武器を除く全てが載っています。 
 
平太  どのくらい安くなるの?

WC  カタログには2つの数字が載っています。1つは、もう1つの2倍です。

サヤ  半額か〜。

WC  です。

  「まあ、登録社員は、うちのスタッフみたいなもんやから、利益出す必要ないんよ。
でも、外部の人にはそうそう売れるもんやないし。それでの価格設定やね。」

サヤ  「登録すると、仕事斡旋されるってことだよね?」

  「されますねー。しますねー。」

平太  「礼さん、いまどんな仕事してるんですか?」

  「さすがに部外者にそんなん言えへんがな。」

平太  「というか…比嘉の方はなんか動きがないのか…」

  「どうやろね。」

サヤ  「なんだよ〜。部外者扱いしなくてもいいじゃん。」

  「部外者やって。」

サヤ  「どうせ、関わるんだから。じゃなきゃ、お買い物にも来ないよ〜。」

  「ねえさん、今嫌なこといいましたね?」

サヤ  「え〜なにが〜? 別に話さなきゃ買わない、って言った訳じゃないよ〜。」

  「ええですけど。…いや、あきません。せめて登録してくれません?」

平太  「…俺はどっちかっていうと、登録したい。」

  「ボン?…学生にはきついと思うで。人の命も関わる仕事も多いしな。」

平太  「学生の奴って、他にはいないんですか?」

  「おらんことないけど、ガッコのテストやからゆうて仕事ほおりだすようなんはおらんな。本文おろそかにすることになってまうよ?」

平太  「それは、大丈夫。テストの方を放り出してるもん俺。」

サヤ  「そこは自慢するところじゃないよ。うぅ。」

  「ボンが良くても、ボンのおかんやおとんはどうなん?」

平太  「昔から、俺の好きなようにさせてくれたけど。」

サヤ  「高校くらいは卒業しないと、 秋子 平太の母である大門秋子(だいもん・しゅうこ)。
旧姓川原。川原春乃介の姉で、サヤの義姉に当たる。
30代で脱サラし、まさかの『探偵』をはじめた弟に驚愕。
その妻である義妹サヤに同情的。さばけた人柄。
さんが泣いちゃう…。」

平太  「まあ…そうだね…でも、やっている学生はいるんだ、俺にできないことはない。
これでも、野球と学問の両立はギリギリやってきたんだし、その辺は何とかするよ。」

サヤ  「うん。へーたんもともと学問より野球だったもんね。」

平太  「何にしても! この力を生かせる道があるなら。野球の道を失って、新たにできた道だし、おれは、こっちに走ってみたい。」

  「一応、釘刺しとくで。
学生のぉは、家がもともとそういう家系やったりで、ガッコのほうが副業みたいなんや。ボンとは事情が違う。
あと、2人にやねんけど言っとくで。そんなんないこと祈るけど、仕事からみで性質の悪い呪者に逆恨みされたりすると、自分らだけやのうて、家族や友達に累が及ぶこともあるで。」

平太  「前例がないだけでしょ?」

  「ないわけやない。うまくいった例がないだけやね。」

平太  「うーん。すべて、俺が守るって言えないのが痛いな。」

  「ムリやね。でも、自分の限界がわかっとる点は評価+1。」

平太  「それを承知で登録するしか道はないんだよね。」

  「登録したいんなら、そうやね。」

サヤ  「いいじゃん。へーたんがうまくいった例第1号になればいいんだから。若いうちから自分の限界決めちゃったら、伸びないよ〜。」

  「おお、ええこと言いますな。ねえさん。
まあ、ボンが目指す場所にたどり着くには、血ィ滲む様な努力と研鑽が要りますけどな。」 
 
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