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虚空の翼
◆2話 ◆ うつつにうつるはまぼろしの |
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| GRS | |||
| 平太
「うし! 決めた! 礼さんの忠告を聞いても、やっぱり俺は登録したい!」
サヤ 「うん! よく言った!」 礼 「んじゃ、これ書類な。4枚あるけど、もれなく記入な。あ、ボールペンで頼むで。」 平太 「うん。」 じゃあ、一気に記入します。 「書き終わったよ。」 サヤ 「れーさん、私も登録しておくよ。半額はすばらしい!」 礼 「主婦の鑑やね…。」 平太 「(笑)」 サヤ 記入〜。 礼 「で、これが最後の1枚や。誓約書といってもええ。」 WC と、あきらかに今までとは違う、呪的な文様の書かれた紙を出します。 礼 「これは、『誓約』によって、書いたもんの魂を縛る鎖や。 『誓約』はたった一つ。『正道に恥じぬこと』。これに違背したものを、違背の罰とともに、この契約から追い出す。」 WC つまり、その紙に名前を書いた上で、「正道に恥じる」行為を行うと、何らかの罰を与えつつ、登録抹消処分が与えられるという呪術が込められた紙のようです。 礼 「真名を。覚悟ができたら、書いてぇな。」 平太 「まな?」 礼 「本名や。なんも気にせんでええ。ボンの、本当の名前のことや。ボンの名前はなんや?」 平太 「大門…平太、です。」 礼 「それが、真名や。ボンの、ボン自身を顕わす言葉。」 サヤ 「『正道』ね〜…。 はい。『川原沙夜』と。」 礼 「ねえさんにもあるやろ、『正道』?」 サヤ 「うん。もちろん。」 礼 「ならええねん。」 平太 「まあ、正しく生きていくつもりだし…問題ないよな『大門平太』…っと…。」 礼 「登録完了。じゃ、めでたくうちの登録社員になってくれたことやし…」 サヤ 「わ〜い。半額!」 平太 (笑) |
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| WC
と、外に顔を出し、2人の登録書類を誰かに渡してなにかの指示を出して…
礼 「カタログ見ながらでええねんけど、ちょぉ、聞いてくれません?」 サヤ 「はい?」 礼 「わかっとると思うねんけど、いま、この辺で一番深刻な案件が、魔女ヒガユラやねん。」 平太 「…。」 サヤ 「うん。」 礼 「で、うちとしても、いろんなとこと協力して、防衛策を立てつつ、打開策練らなあかんの。 そんでな、アイツと強い『縁』を持つだれかさんたちの協力が欲しかったんや、実を言うと。 どうです? 登録一発目の仕事、早速行ってみますか?」 平太 「俺もずっと気になっていた事だから、行きます!」 サヤ 「うん。私も。」 礼 「簡単な調査仕事やねん。魔女たちのルーツと、あいつらが殺しあい始めた理由と、そいから、なんや手掛かりになることやったら何でもええから、調べて欲しいねん。 …横浜で。」 サヤ 「よこはま!?」 平太 「!」 礼 「ええとこやで。海は近いし中華はうまい。」 サヤ 「それはそうだけど…、いやそういうことじゃなく!!…なんで横浜なの?」 礼 「ツッコミとしては70点やね。」 平太 「ちなみに、横浜と比嘉の関係は?」 礼 「まずな、あいつらやけど、東から移動しながら殺し合いを続けていた…ええ?」 サヤ 「うん。」 礼 「じゃ、どこからそれが始まったか、ちゅうことや。」 サヤ 「そだね。」 礼 「でまあ、色々調べた結果、横浜の山の手に、『5人』の魔女が住む館があったっちゅうことが判ったんや。」 平太 「数がちがいますね…。」 礼 「そうやね。やから、外れかも知れへん。でも、どんな手掛かりかて、適当に流せる状況ちゃうねん。」 平太 「一つの屋敷に5人で住んでいたんですか?」 礼 「そうや。でっかい洋館らしいで。」 平太 「今そこには誰もいないんですか?」 礼 「うん。誰も住んどらんらしいな。報告で聞いただけやけど。」 平太 「…じゃあ、まずそこに行ってみようか、サヤねぇ。」 サヤ 「うん。場所ははっきりしてるんだよね?」 礼 「そうやね、だだ、調査ゆうても、なんものこっとらん可能性も高い。そこでや。 ぱぱらぱーん! 展影香ー!」 平太 「ドラえもんか!」 WC 礼は、足元から香炉のようなものを取り出す。 礼 「ええ! OKな突っ込みや。今くらいのタイミングがええね。」 平太 「いやいや(笑)。」 礼 「んでや。これはな、ある場所で起きた過去の物事のうち、強く怪異に依る物事を香の煙に影として映し出すものやねん。 つまり、過去の出来事を『見る』ことが出来るっちゅうわけやね。」 平太 「へー…」 サヤ 「ほ〜。」 礼 「たっかいねんでー。」 サヤ 「いやーー、値段は聞きませんよ。」 礼 「まるがむっつや。」 サヤ 「いやーーーーー!」 耳をふさぐ。 平太 「…うわー…サヤねぇもっててね。」 サヤ 「いやだいやだ。へーたんにまかせた。」 礼 「ただ、これから行ってもらう場所は、もともと魔女ゆかりの地やし、あることあることみんな怪異がらみや。 やから、『ここは』っちゅうところで焚くようにして欲しいねん。 …高価いし。」 平太 「うわ…1回勝負?」 礼 「さすがにきついやろ。弾一発で組長殺ってこいて、どんなアホ幹部やねん。」 平太 「それ、幹部の嫌がらせ。」 礼 「お香は6包な。とにかく高いんでこんだけしかないが、なんとかうまいこと工面してえな。 こっちが香炉な。 ちなみに、ほんまに高いのは香炉の方やで。お香は、まあ、まるいつつくらいや。」 平太 「十分高いです。」 サヤ 「うん。」 礼 「あーあと、ちょお気ぃつけて欲しいねんけどね…このお香な、過去の出来事があんまり激しい物事やと、それを現に再現してしまうねん。 つまり、戦争があった場所で使うと、兵士達がおそってくるみたいなことも起こる、ちゅうこと。焚くときは気いつけてな。」 平太 「え?」 サヤ 「ひぇ〜〜。」 礼 「原爆が落ちた場所やと、原爆が落ちてきたり。」 サヤ 「ホントに魔女がいた洋館なら…。そして魔女同士が争ってたら巻き込まれる?」 礼 「巻き込まれるかもしれんねー。」 平太 「…」 礼 「やめとく?」 平太 「いえ、行きます!」 サヤ 「お札売って!」 礼 「まいどー。」 サヤ 「あと、回復道具も。」 礼 「またまたまいどー。」 サヤ 「ないと思うけど、煮干しは売ってないよね?」 礼 「当たり前や!」 平太 「…俺もなにか買っていこっと…」 WC システムに書いてある価格の半額でどうぞ。 平太 「なんか、武器って無いですか?」 礼 「武器なあ。人によっていろいろやし、うまいもんカタログにあるか見てみてぇな。」 平太 「うーん…」 礼 「ボンやと、つぶてやろかなあ。その腕、ほんまは意志のままに動くはずやし、投げにこだわる必要ない思うけど。」 平太 「うん、いろいろ実験しています。」 礼 「そうやねえ。まだ若いんやし、色々やってみぃ。あとな。これ先輩からの忠告やけど。」 平太 「はい?」 礼 「調査系の仕事は…時間かかるでー。1週間とかザラやでー。」 平太 「うーん…ですよね…さやねぇは大丈夫なの?」 WC 「学生やっても、主婦やっても、なんやうまいことやらんとあかんよ。」 サヤ 「そだね。 一応春さんに話さないとね。」 平太 「俺も話さないとダメだな…」 礼 「その辺踏まえて、準備もしっかりしとき。」 サヤ 「はい。」 礼 「道具やとか、薬やとか、全部含めてな。」 WC こんこん。 礼 「あ、でけたー?」 WC フロントの女性が入ってくる。 受付嬢 「こちらが、お2人の登録証です。無くさないでくださいね。」 WC と、IDカードをくれる。 平太 「あ、はい。」 サヤ 「はい。ありがと〜ございます。」 受付嬢 「再発行には2000円かかります。また、紛失の際には、お早めに連絡をお願いします。」 WC にっこり笑って出て行く。 平太 「2000円…」 サヤ 「紛失しないように気をつけます。」 WC では、何かあればどうぞ。なければ、買い物などご自由に。 平太 はーい。 サヤ あと懐中電灯以外に必要そうなものはあるかな? WC ウノ。 サヤ いらない!!リキできないし。 WC ロープ。 サヤ ロープは持ってる。 WC 持ってるんだ…。 平太 さやねぇ…バックいくつ持ってきたの? サヤ リキのリュックと私のトートバックくらい? 今はリキいないけど。 WC ビーチボールは? 水着は? サヤ 部屋の中じゃ遊べないよ。だって今度室内でしょ。 WC 地下室の先に地底湖とかあるよ。 サヤ そなの〜〜〜!?そんなとこで泳いだら寒すぎだよ。 WC 秘密の部屋の扉をくぐると広い森の中だし。 確かクローゼットの奥に抜けると雪の降る広場だったな。 平太 ナルニア ナルニア国物語。C・S・ルイスの手による名作ファンタジー。 現代世界の少年少女が『異世界』に招かれ、様々な冒険を行う筋立てが主軸となる。 俗な言い方ではいわゆる『異世界もの』。 か。 WC 学校の 屋根裏からは、夜の森 果てしない物語。ネバーエンディングストーリーと言った方が通りが良いか。 ミヒャエル・エンデのファンタジー作品。やはり『異世界もの』である。 に呼ばれるね。 平太 東京タワーからは… WC レイアース 魔法騎士レイアース。 CLAMPのコミック作品であり、アニメ化もされている。 やはり『異世界もの』。 に。 サヤ お香はどっちが持つ? 平太 もう持った(笑)。 サヤ えらい!! 礼 「おお、そや。うちは成功報酬やから、調査結果で給料出すねん。最悪、無給も覚悟してくださいねー。」 サヤ 「は〜い…。」 平太 「はい…。」 サヤ 「交通費は? 全額支給?」 礼 「1往復分だけね。切符買うとき、領収書切ってもらってください。」 平太 「わかりました。」 サヤ 「はーい。」 礼 「今回の調査は最高80万の報酬予算おりとるさかい。2人でなら40万ずつやね。 なんか必要な場合は、この予算内で申請上げてくださいねー。」 平太 「了解。」 礼 「んじゃ、細かい調査の日程とかは任せるけど、急ぎやから、7月末日締め切りな。報告書上げて。その内容次第で、評価点つくさかい。 調査をどこで切り上げるか、とかも任せます。」 平太 「じゃあ、今週中だねサヤねぇ。」 サヤ 「明日から? 明日土曜日だよね? 学校ない方が動きやすいよね。」 平太 「うん。」 サヤ 「じゃ、明日から開始しようか。土日で片付くなら一番いいけど…」 |
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