虚空の翼

◆2話 ◆

うつつにうつるはまぼろしの
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長月館
 
〜7月20日(日)〜

WC  午前7時。 アラームの音で目を覚まします。

平太  「うし!起床!」

サヤ  「ふわぁ〜〜。リキおはよ〜。」

リキ  「ばう?わう!」

WC  リキはドアのところにてとてとと駆け寄り、ドアの下部をフンフンしています。

サヤ  「どうしたの? 外、気になるの?」

WC  前足で、ドアのしたの隙間をカリカリやってます。

サヤ  んじゃ、とりあえず服だけ着替えて、ドア開けます。

WC  ドアを開けると、その下に、どうやら、紙が挟まっていたようです。

サヤ  紙を取りますよ。

WC  『朝食はサルーンでどうぞ。厨房は7時から開いています。共由』

サヤ  「お〜ありがたいですねー。」

WC  何分後かに、着替えを終えて外に出ようとしたへーたも、同じものを見つけます。

平太  「おっと。」

サヤ  いったん戻って、簡単に化粧させてね。まぁ、10分もすれば支度も済んでいるでしょう。

平太  「さやねぇー、起きてる?」

サヤ  「起きてるよ〜、お待たせ〜。」

WC  では、7時半前にサルーン?

平太  そのくらいで。

サヤ  はいよ〜。  
 
【サルーン】

平太  「おはようございまーす。」

WC  卓についている家人はいない。 共由が、食器のトレイを片付けている。

共由  「おはようございます。良く眠れましたか?」

平太  「はい、ぐっすりです。」

サヤ  「おはよーございます!」

共由  「食事はとられますか?」

平太  「あ、おねがいします!」

共由  「和食と、洋食、お好みは?」

平太  「朝は和食かな〜。」

サヤ  「私も和食で。」

共由  「はい。では、かけてお待ちください。」

WC  と、出てゆき、15分もせずにトレイを2つ持って入ってくる。

共由  「お待たせしました。」

サヤ  「ありがとうございます♪」

平太  「いただきます。」

サヤ  「いただきます。」

WC  米と味噌汁と漬物とシャケの切り身程度の簡単な食事だ。どれも基礎的に上手い。

サヤ  「あ〜、おいしいですねぇ。」

平太  「しあわせだなー。」

サヤ  「だねー。」

共由  「お代わりありますが。」

平太  「あーえー……いただきます。」

サヤ  「あのあの…、とってもずうずうしいお願いなんですけど…」

共由  「はい?」

WC  へーたの茶碗に米をつけながら、首をかしげる。
ついでに、味噌汁も継ぎ足す。

サヤ  「もしっ、もし朝食の分でご飯とか余るようなら、にぎらせてもらったらダメでしょうか?  
今日、たぶんお昼食べるところ見つけられない気がして…。」

平太  「あ、すいません。」

共由  「あ、そのおつもりでしたか…しまったな。 
たぶん必要かなと思って、お弁当作ってしまったんですが…ちょっと先走りましたね。」

サヤ  「あ〜〜、いやいやいや!」

平太  「すごい…鳴海さん気が利きすぎ。」

サヤ  「うんうん。いい旦那さんになりますね〜。」

共由  「はは…。」

サヤ  「お嫁さんになる人は幸せものです。」

共由  「では、そうですね。お発ちになるときに、厨房によってください。朝なら其処に。
もし、もう少しゆっくりしてゆかれる場合は、庭か、書庫にいると思います。
蒼次郎さんがお帰りになるころには、代わりに出てしまうので、その場合は出かける前に部屋までお届けします。」

平太  「すぐ出ますから、厨房に取りに伺いますよ。」

サヤ  「ですね。」

共由  「そうですか。では、ごゆっくり。 食器はそのままで結構ですよ。」

WC  と、出てゆく。

平太  「何から何までやってもらっちゃってるね。」

サヤ  「そだね〜。でもお金を置いていく訳にもいかないしね。」

平太  「ごちそうさま。
んだね…まあ、今日中に片づけて、あまり長居をしないようにしよう。」

サヤ  「うん。じゃ、ごちそうさまでした。」

平太  「じゃあ、出かける準備をするね。」

 
WC  では部屋だが。

平太  お香があるからな。俺は鞄を持っていかないと。

サヤ  私も荷物持っていくよ。

平太  挨拶にいく?

WC  確かに、今日中に攻略できなかったら、再度ここに泊めてもらうのが一番効率がいいからね。

サヤ  そだね。どうしようもなくなったら、きっとそうなる気がする。 
だったら、はじめから「お願いします」って言っておくのもアリな気がする。

平太  んだね。

サヤ  その為には誰に言えばいいのかな? とりあえず厨房で共由さんに相談かな?

平太  まあ、柏陽さんだろうね。柏陽さんに挨拶しにいこうか。

サヤ  当主の予定がどうかもわからないので、とりあえず共由さんに聞きにいきませんか?

平太  おけー。

サヤ  という訳で厨房。

WC  大きな鉄扉が半分くらい開いていて、共由の姿が見える。

共由  「あ、もう出られます?」

サヤ  「ええ、あの色々ありがとうございました。  それで、度々ずうずうしいお願いなんですけど…。」

共由  「はい。」

サヤ  「私たち、今日、長月館を調査する予定なんですが、今日中に終わらない可能性もあるんですね。
で、ご迷惑になるとは思うんですが、今夜もこちらで泊めていただくわけにはいかないでしょうか?」

共由  「ああ、かまわないですよ。」

サヤ  即答だ〜。

平太  「柏陽さんには言わなくていいんですか?」

共由  「御前には、僕の方で話を通します。」

平太  「なにからなにまで。」

共由  「というか、ですね。皆さん大忙しなんですよ。
言葉は悪いですが、ご挨拶なんかは省いて、堂々としていただいた方がこちらも助かるって寸法です。 
では、部屋はそのままにしておきますから。」

WC  と、弁当の包みを渡してくれる。

サヤ  「本当にありがとうございます!!」

平太  「すいません。」

共由  「箱なんかは、捨てちゃって結構ですよ。いってらっしゃい。」

平太  「いってきます。」

サヤ  「いってきま〜す。」

WC  外に出ると、昨日より台数は少ないですが、やはり黒塗りの車が止まっています。
してみると、柏陽は既に紅簾の間なのでしょう。 天気は薄曇。昨日よりはずっと歩きやすい気温です。

サヤ  んじゃ、長月館へ出発!
「でもこんな朝から、あの紅簾の間にこもってるのかな? 大変だな〜。」

平太  「うーん…大変だよね。毎日なのかね。」

サヤ  「そうなのかも…。 そういえばれーさんに昨日夜電話してみたけど。なんか結局よくわかんなかったよ。」

平太  「紅簾の間って長月館にもあるのかな。」

サヤ  「あ、どうなんだろうね。」

平太  「まあ、行ってみればわかるか。」

サヤ  「そだね。」
 
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