虚空の翼

◆2話 ◆

うつつにうつるはまぼろしの
<<モドル <メニュー> ススム>>
長月館
 
WC  階段を上がると、ホールを見下ろす吹き抜けを巡る、ベランダ状の廊下に出る。
目の前のの壁には、比較的近い間隔で2つの扉がある。

平太  吹き抜けに沿って、半時計回りに進んでいこうか。扉を開けながら。

サヤ  りょーかい。

平太  とりあえず、階段を上がって一番近くの扉へ。

サヤ  開くかな?

平太  どうかな〜。

WC  では、最も手近な扉。仮説どおりなら主人・柏陽の私室に当たる場所だ。扉は…

平太  ここが鍵ありそうなんだけどね。

WC  鍵がかかっている。

平太  残念。

サヤ  まぁ、主人の部屋入ったことないから、同じかは中見ても確認できないけどね。

平太  うんうん。

WC  それはそうだ。

サヤ  ではつぎー。

平太  さらに近場の扉へ。

WC  となりの扉。ゆっくりと開く。

平太  「死体とかないよね?」

サヤ  「やなこと言わないでよ…。」

WC  階下の客間と同じような調度でまとめられた広い部屋だ。

平太  使っていた人の形跡、名残とかあるかな?

WC  仕切りが壁に立てかけてあり、いくつかのパーティションに区切れるようになっていることがわかる。
ベッド、クロゼット、デスクなどは完備されているが、それらは右手の壁に寄せて置かれ、その上に変色した布がかかっている。

サヤ  じゃ、あんまり使ってなさそうかな。

WC  厚い埃は、客間に負けず劣らずで、ずっと長いことこの部屋が使われていないことがわかる。
ベッドやデスクには小物も飾りもなく、使用していた「誰か」の痕跡を示すようなものはない。

平太  パーティションって…この部屋をしきる必要あるのかな?

サヤ  目隠しとか?

平太  何人かで使ってたってことかな?

サヤ  部屋空けたときに中丸見えだとやだし?

平太  そういうしきりか。

WC  ベッド周りとかは特にねー。

サヤ  わかんないけど。でもベッドとかが何個もあるわけではないよね?

WC  1台。

平太  一応、鍵をしまえそうなところチェック。

WC  デスクの引き出し、壁のフックなどには、明らかに鍵などがないことがわかる。

平太  おけ。

サヤ  あ、そういえば窓ってあるんだっけ?

WC  窓はあります。奥の壁に。
…板で打ち付けられていますが。雨戸を閉めた上に、板で打ってる感じです。台風用に、ですかね。

サヤ  やっぱりね。

平太  じゃあ、次に行こうか。

WC  部屋を出て右に向います。

平太  で、正面の扉かな。

WC  ベランダ廊下が左手に曲がる曲がり角。正面に意匠を凝らした上品な扉があります。
残念ながら、開かないようです。

サヤ  うぬぬ。

WC  更にその左手にも落ち着いた扉がありますが。

平太  そっちを開けよう。

WC  開きませんね。

サヤ  よし、さくさく行こう。

WC  左に曲がったベランダ廊下は、トの字に分かれています。

平太  角は曲がらずに…真っ直ぐだね。

サヤ  うん。

WC  吹き抜け沿いに正面に進むと、右手の壁に、細工の細かい扉が。

平太  右手の扉を開けよう。

WC  開きませんね。廊下はその先で左に曲がっています。

サヤ  んじゃ左。

WC  右手の壁に3つの扉があり、左手の吹き抜けの行き止まりに下に下りる階段が見えます。

サヤ  とーびーらとっびーら。

平太  てまえのとーびら。

WC  とびらコールだアアアァァァァッ! 中は、一つ前に入った部屋と殆ど同じ作りです。

平太  私物チェック!

WC  衝立、デスク。寝台、クロゼットなどが置いてありますが、布がかけられ、個性を示すようなものは見当たりません。

平太  鍵チェック!

WC  なし!

サヤ  ハイではお隣へ〜。

WC  お隣も同じような部屋だ。って言うか同じだ。

平太  じゃあ、さっきのチェック内容も同じと。

WC  そのとき、へーたの心に呼びかける声が…

平太  ぴこーん!

呼びかける声  「心配する事はありません。鍵なんかなくても…あなたこそが、この世界を平和に導く鍵なのですから…みたいな〜。」

平太  それは、マジにとっていいんですか?(笑)

サヤ  「へーたん、どうかした?」

WC  …着信アリ。

平太  「いやー、鍵はどこにあるんだろうねー。」

呼びかける声  「あなたの心の中に…」

サヤ  「ね〜。こうなったら、3階も見てこよっか。 いざとなったら、体当たりするしかないかな〜。」

リキ  「わう(え)? わわう(誰が)?!」

サヤ  「別にリキにやらせるわけじゃないよ〜。」

平太  「サルーンに入る扉はもう一カ所あるよ。そっち見てみる?」

WC  まあ、どっちにせよ3階に行くならその前を通るね。

サヤ  「んじゃ、そっち見てついでに3階行きますか。」

平太  「そだね。」

WC
  玄関正面の廊下を抜け、突き当たりのT字に。 
正面は、ベランダに面した広い大窓なのだが、一面、雨戸を降ろされ、その上から板で打ちつけられているのは今までと変わらない。
右手に曲がり、廊下を行けば、右手の壁に意匠を凝らした上品な扉が見える。 
廊下は先に続いている。

平太  扉あけよう。

WC  開きませんね。

サヤ  うぅ、でも階段のぼります。

平太  じゃあ、階段をあがりますか。

 

WC  廊下の突き当たり、予想通りに存在した階段を上れば。 
確かに仮説どおり、吐月館と対照になった3階になります。

平太
  見る部屋は1つしかないね。

サヤ  あとはサンルームの方を確認するくらいか。

平太  あ、そだね。一番怪しい部屋と…サンルーム。

サヤ  紅簾の間は開きますかね?

WC  そっち先で?

平太  怖いから、先サンルーム。開かないと思うよね(笑)

サヤ  だよね〜。でも逆に鍵あるかも。 
ま、ともかくサンルームへ行きましょ。

平太  うんうん。

WC  サンルームへ…行く前に。 あれ? と思って立ち止まるでしょうか。

平太  うん? 吹き抜け?

WC  階段を上がって正面、南側の壁に、扉があります。

サヤ  なにぃ〜! そこか…。吹き抜けの脇ね。

平太  そこに部屋があってもおかしくないもんね。ていうか、無いと無駄だ。

WC  そうですね。扉は簡素なものですが、朝顔が浮き彫りにされた木札がかけられています。

サヤ  札? 何か文字とかは?

WC  15cm×30cm程度でしょうか。特に高級なものとも思えませんが、扉に打ち付けて固定してあります。 
銘や文字のようなものはないですね。

サヤ  ふ〜ん。開けてみる?

平太  夕顔を思い出してしまうんだけど。

サヤ  私はもっとやばいものを思い出した。

WC  なんだそれは?

平太  なになに?

サヤ  のぞき窓になってて、中に人が逆さになってぶら下がってるの。

平太  なんじゃそらー!!!!

WC  怖すぎ。

平太  こえー。

サヤ  うんでも、固定されてるなら大丈夫。覗けない。

平太  じゃあ、開けるか(笑)。

サヤ  うん。

WC  扉は開きませんね。

サヤ  なんだよ〜。

WC  おっと。

平太  朝顔だから、朝開くのか?

WC  おもろいな。それ。今度そうしよう。

平太  (笑)

サヤ  お〜、へーたんなかなか良いこと言うね。 って違うのか…。

WC  木札をしげしげ見ていたら、ふと…クレバネスがウズウズする。目標値10。

平太  ふるぜー!

サヤ  私も〜!! ケアフルで、2が出て、10でした。

平太  ギャンブル…8がでて、13。

WC  おおっ?!

平太  さすがギャンブル(笑)。

サヤ  すごーい。

WC  へーたの方が先に思いつく。 そういえば、この木札、似たものを、この屋敷の他の扉でも見た気がする。

平太  「あれ、この札どっかで見なかった?」

サヤ  「ん…、そう言われてみれば。そうかも。」

平太  どこだ?

WC  複数あった事は思い出せるが、それゆえに、どこだったか、までの特定はできない。

サヤ  そか。
「あとで、また確認しながら歩くようにするよ。」

平太  「どこだったかな〜…」

サヤ  ここは、朝顔以外は目につく模様はない?

WC  特にないですね。吹き抜けの南側の壁にも窓があったことにいまさらながらに目が行って、でも、打ち付けてあるじゃーんがっかり、みたいな。 

平太サヤ サンルームへいこう!

WC  サンルーム。 2面の壁に広く取られた窓も、雨戸と板で封じられてはむしろダークルーム。

平太  うーむ…。

WC  衝立は脇に寄せられ、テーブルは積み上げられている。使われていた形跡はない。

平太  吹き抜けを見下ろしてみよう。玄関ホールの床に絵とか書いてないかな。

WC  暗いが、下の玄関ホールまで見渡せる。

サヤ  おー。

WC  絵などは確認できないね。光が届ききっていない。

平太  じゃあ、逆に天井。

WC  蜘蛛の巣がわずかに張っている。雨漏りでもしているのか、わずかに変色したしみのようなものが見て取れるのみ。

平太  おけー。じゃあ、ボス部屋行こっか。

サヤ  行きますか。

WC  さて、ボス部屋。重厚な両開きの引き戸。

サヤ  この部屋は札ついてる?

WC  札はついていない。

サヤ  じゃ、開けます?

平太  開けよう!

WC  扉に手をかけ、ぐいと力を込めると、重い手ごたえとともにゆっくりと扉が開く。

平太  おお!

サヤ  「うわ、開いたね〜。」

WC  まず目に入るのは、青い照り返し。 
吐月では赤い紗の幕が下がっていた。しかし、こちらでは青い紗がかかっている。
深い青に支配された、静謐な空間。そんな印象だ。
部屋の作り自体は、柏陽とともに入った紅簾の間と同じだろうか。

平太  さやねぇは吐月で感じた気持ち悪さと同じものを受けるかな?

WC  感じない。ここには、時に取り残されたような静寂だけがある。

平太  とりあえず、鍵だよね。探してみます。

WC  床や部屋の隅にしつらえられた物入れ・小箪笥などには殆ど埃などが積もっていない。

サヤ  ほ〜、人は入っていたと。

平太  え? 小箪笥のなかに?!

サヤ  いやいや(笑)。

WC  探してみると、部屋の片隅、吐月で柏陽が長月館の鍵をしまっていた小箪笥の中に。

サヤ  人が!?

平太  えー!(笑)

WC  桐をかたどった小さな木札がついた、鍵が見つかる。

サヤ  1個だけか。

WC  人でなくて申し訳ないがね。

平太  おっと…部屋の木札と同じだよね…。

サヤ  だろうね。

WC  次回は人にするよ。ごめん。

平太  おけ、期待しておく。

サヤ  いらないよ。じゃ、桐の木札探さないとね。

平太  もうちょっと探してみるけど、他の鍵はない?

WC  もうないね。

平太  おけ。じゃあ、扉探しと…そろそろお弁当?

WC  ふと時計を見ると、時間は2時になろうとしている。思ったより時間がたっていたようだ。

サヤ  あと、この部屋はたくさんの人が使ってた感じはない?

WC  多くの人が出入りしたにしては、何もかもがシンプルすぎる。家具も、汚れも。

サヤ  うぃ。じゃ、せっかく作ってもらったお弁当食べないとね。

平太  うんうん。

サヤ  「どこで食べる?」

平太  「ここは埃っぽいから…外にしない?」

サヤ  「の方がいいよね。」

??  「わしにも一口くれんか…」

サヤ  誰!?

平太  なんだ?! 箪笥の人か?!

??  「おいてけ…」

サヤ  ぎゃ〜〜!?

平太  なんだ、ただのおいてけぼり 「置いてけ堀」。江戸の七不思議の1つとか言うこともある怪談。
その堀で魚を釣ると、いざ帰ろうとする際に、どこからともなく「おいてけ…おいてけ…」と呼ぶ声がするという。
か。

WC  では、屋敷の外へ?

平太  屋敷の外へ。で、外に出ながら、「サルーン」「アトリエ」「書庫」「主人の部屋」の扉を見ていく。

WC  それらの扉には、確かに木札がついていた。

サヤ  レジャーシート持ってくれば良かったよ。

平太  主婦ポイント使うと出てくるよ(笑)。

サヤ  それで使うの、やだな。

平太  じゃあ、木札チェックしていくよ。絵柄を。

WC  サルーンには時計草、アトリエには芍薬、書庫には夕顔。

サヤ  夕顔あるんか。

WC  そして、主人私室には「桐」だ。

平太
  さっさと食べて、主人の部屋に行こう。

WC  屋敷の外は暗い。曇天は変わらず、のようだ。屋敷の外に出たときにも、まぶしくないのは良いことだが。

サヤ  うんうん。いただきま〜す、いただきました。

平太  いただきさまでした! 
おいしいお弁当を食して、再度突入。  

 
<<モドル <メニュー> ススム>>