虚空の翼

◆2話 ◆

うつつにうつるはまぼろしの
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長月館
 
WC  2階東側、主人私室前。

平太  開けます!

WC  鍵は、ぴたりと合い、かちゃり、と音を立てる。 扉は軽く、静かに開く。 
中は、西洋風の落ち着いた調度品が置かれた部屋だ。
中央に衝立が立てられ、奥を隠している。 左手の壁にはクロゼット。

サヤ  クロゼット開けてみますよ。

平太  ほい。俺は、衝立の向こうへ…。

WC  クロゼットを開けると、古びた衣服の匂いが鼻につく。

サヤ  女性もの? 男性もの?

WC  服は、女物だ。

サヤ  どの世代くらいの服?

WC  年配の女性が好むようなデザインで、どちらかといえば、ゆったりした服が多いことから、持ち主はそれなりに大柄な女性だったことが想像される。

平太  てことは、老婆って感じでもないのかな? 外国の老婆?

WC  へーたが向かった、衝立に隠された空間には、デスクが置かれている。

平太  私物は残っているかな?

WC  デスクの上には、ペンたてやメモ帳のような小物が置かれている。 
また、その正面の壁には小さなフックがついている。鍵などをかける場所だろうか。

平太  おお、いろいろ残ってそうだ。

WC  デスクの前のフックを見てゆくと、はしの1本に、なにかがぶら下がっている。

平太  手に取ろう。

WC  少々絡んでいるが、3本の鍵のようだ。それぞれ、麦穂・夕顔・芍薬の木札がついている。

平太  うし、ゲット。

WC  右手の壁には書架がある。

平太  本はいっぱい?

WC  いっぱい。

平太  懐中電灯で照らして、タイトル読み上げて…気になるモノを。「魔女」「魔術」関連。あと、アルバムとか。

WC  すぐには読めませんね。背表紙に描かれているのは日本語ではないです。

平太  「うーん…外国のおばあちゃん? さやねぇ…何語とかわかる?」

WC  へーたでも、英語だってことくらいはわかるかな。

平太  おけ。

サヤ  英語だったら読めるかもよ?  英文卒 サヤは、文学部英文科卒の学歴があるため、英語の読解・会話・文化などに関するスキルを持っている。 だから。

平太  おお!!!!! 
そんな過去が…知らなかった。まかせた!

WC  本のタイトルなど、専門的な単語が多いものは語彙力がやたら必要なので案外難しいのです。

サヤ  ですよね〜。

平太  キーワードはマジックとウィッチか?

WC  クレバネス判定どうぞ。一般高校生なら14、英文科卒なら9です。

サヤ  は〜い。

平太  おれは一般高校生ではないのであきらめます。他をあさるよ。

WC  おおお…せつねえ。
文が今、一般高校生に復帰しようとしてがんばってるよ。

平太  そうだったのか…俺を置いていきやがって。

サヤ  ノーマル…2なので、クレバネス8だった。くやしい…。目がわるいよね。

WC  だっせえ英文科。

サヤ  だってぇ。サイコロが。
も一回勉強しなおさないと…。

平太  まあ、勉強はやらないと忘れちゃうとか言うしね。

サヤ  手にして中見たら、タイトルより分かる気がする。

WC  手にしてみれば、より時間はかかりますが、再挑戦できます。 30分以上は考えてください。それでもよければどうぞ。

サヤ  時間かかりすぎるから、中見るのはパスかな。他の部屋見て手がなければまた解読しに戻ってくるよ。

平太  おれは英語を読む時間を探索に費やすよ。写真とかないかな?

WC  色々あさる人はクレバネスで12か、フィールで14。

平太  ノーマル。フィールで。
おー、バースト! 9と6で…目だけで探した!

サヤ  お〜。

WC  写真などを探してウロウロすると、壁にかけられた小さな絵画に目が留まる。
他のところと明らかに違う不自然さを感じ、そのあたりを良く注意してみると…モチーフは飛ぶ鳥だろうか…
抽象的な絵画の額の後ろ、かくされた壁に、1辺10cmくらいの、立方体のくぼみがあるのを見つける。

平太  「ん? なんだろ…。」

WC  くぼみの中には、小さな空の瓶と、それに添えられるように置かれた、1枚の書き付けが入っている。

平太  「さやねぇ…なんか見つけたよ。」

サヤ  「すごい、よくそんなとこ気づいたね。」

平太  「うーん…なんとなく?(笑)。瓶と…なんか紙が隠してあったよ…。」

WC  書き付けには、柔らかい筆跡の英語が。ちょっと難しい単語ばかりなので、読むのは難しい。 
高校生ならクレバネス16。英文科ならクレバネス10。

平太  「あー、無理これ…さやねぇお願い。」

サヤ  「う〜ん、ちょっと待ってね。」

平太  俺は瓶の方を。中は入ってないのわかる?

WC  ビンは、薬ビンだろうか。茶色の、小さなビンで、ラベルなどはついていない。中はカラだ。

平太  おけ。とりあえず、持っておこう。

サヤ  ギャンブルしか残ってないんだけど。ギャンブル…3なので、クレバネス7か…。

WC  おいおい英文科。

サヤ  「実は 「主婦ポイント」の使用。
何らかの物事を「あらかじめ用意しておいた」ことにできる。
通称「実は」。
」電子辞書持ってたよ。

平太  おー!

WC  辞書では口語文の柔軟な解釈はできないし、翻訳ソフトのアホッぷりもご存知の通り。 
とりあえず、もうちょっと時間かければ、目標値−1(9)で再度判定に挑戦できる、ということで。

平太  じゃあ、紙は預けておくね。

サヤ  「ごめんね〜、単語検索するから、ちょっと待ってね〜。」

平太  「おけー!」

サヤ  ケアフルで、2がでて、10。ギリギリだよ。

WC  『永遠に続く魂の牢獄。
相克の鎖に囚われ、解き放たれることのない翼。
渇望するのは、ただ一つ。 
終わりを。

ごめんなさい。』

サヤ  「ていう事が書いてあるみたい…。」

WC  部屋の主が記したものだろうか。たったそれだけが記された書付。 
この部屋に漂うのは、柔らかい空気と、しかし静謐な死の匂い。

平太  「…なにかがあったみたいだね…閉じこめられていた?」

サヤ  「う〜ん。」

平太  「お香使ってみる?」

サヤ  「いや、でも鍵ある部屋先に行かない?」

平太  「おけ! じゃあ、書庫か…アトリエだね。」

サヤ  「うん。」

平太  書庫が近いかな。調べることは多そうだけど。

サヤ  そね〜。

平太  「書庫に行こっか。」

サヤ  「OK。」

 
【書庫】

平太  書庫の鍵を「夕顔」の鍵で開ける。

WC  扉には夕顔の木札。鍵はぴたりと合い、扉が開く。
中には、壁一面に書架が立てられ、中央には小さなテーブル。
薄く埃をかぶっているが、それでも客間などとは段違いに使用感が残る。

平太  ここの本も英字かな?

WC  洋の東西を問わず、多くの本がある。
タイトルが読めないもの、普通に日本語の本、子供向けの本や、政治・経済・哲学の本など。
整理の仕方がまちまちなので、複数の人間が、個人でテリトリーを決めて使っていたような印象も受ける。

サヤ  う〜ん、これは何かを探すのは大変そう。

平太  いすは1脚?

WC  いすは3脚ある。

平太  3人までなら一緒に読めるのか。

サヤ  このエリアに内容が偏ってる…とかあるの?

WC  言語の偏りが大きい。

平太  何カ国もって感じなのかな?

WC  日本語の本には、芸術系・文学系のエリアと、子供向け・科学誌系のエリアが。 
多種の外国語の本が混ざった、分厚い学術書(?)のエリアもある。 
後は、英語メインの、家庭必携本(医学系・料理系など)エリアくらいだろうか、大まかにわかるのは。
まあ、学術書のエリアに小説が混ざってたり、英語メインのエリアに日本語の絵本が混ざってたりもするのだが。 
エリアをまたいで、同じような本も何冊かある。

サヤ  エリアをまたいでる本って何かわかる?判定必要かな。

WC  いや、ベストセラー。

サヤ  納得。う〜ん、そうすると少なくとも4人は住んでそう?
ま〜皆が本に興味あるわけじゃないだろうから、全員が書庫を使ってたわけじゃないだろうけど。

平太  そだね…。

WC  そう見れば、エリアごとの本の数もぜんぜん違うしね。

平太  エリアはいくつに分かれてるの?

WC  見ての通りに。

サヤ  4つだよね? おおまかにわかるのは。
だから、大人は4人かな〜と勝手に思ったんだけど。 少なくともだけど。

WC  線が切ってあるわけではないので、厳密にはわからない。
というか、あくまで印象のエリアわけに厳密さもクソもないのだが。

平太  そか、そういう区切りならそうだね。

サヤ  うん。まぁ、印象でいいのです。

平太  さっきの主の部屋の人がここに書架を持ってなかったら、5人になる可能性もあるね。

サヤ  うんそう。

WC  また、東側の壁には、サルーンであるはずの場所に通じる小さなくぐり戸もある。

平太  この部屋からサルーンへの扉は開けられる?

WC  残念ながら、開かないようだ。鍵はついていないようだが。

サヤ  そっかぁ。じゃ、私は書庫OKかな〜。

平太  そだね、じゃあ「アトリエ」に移動しようか。

WC  時間は4時前。 

 
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