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虚空の翼
◆2話 ◆ うつつにうつるはまぼろしの |
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| ミハエル | |||
| WC
3階、紅簾の間。
部屋の前に金髪の青年がいる。
平太 「こんばんは。」 ミハエル 「こんばんは。」 サヤ お〜いろんな人と出会いますね。 WC 流暢な日本語で挨拶を返し、にっこりと微笑む。 平太 「…こんな事になってしまって、残念ですね。」 ミハエル 「そうですね。とても気落ちしています。 柏陽さんは、短い間でしたが、僕の義父でしたから。 君も災難でしたね。」 平太 「まあ…そうですね…。」 ミハエル 「どう思いますか?」 平太 「え?」 ミハエル 「何がおきたと、思いますか?」 平太 「うーん、あまり状況もよくわからないし… 悲鳴とか聞こえなかったんですか? 大声とか暴れる音とか。」 ミハエル 「僕はそのときアトリエで仕事をしていました。何もなかったです。」 平太 「アトリエじゃ、一人ですよね…。」 ミハエル 「詠歌が、仕事中の僕のところに来て、お義父さんが倒れていることを教えてくれたんです。」 WC アリバイを疑うような言葉にもまるで反応せず、淡々と語る金髪の美青年。 平太 「で、ここにすぐに向かった?」 ミハエル 「そうです。急いできました。」 平太 「その時、みなさん紅簾の間にいたんですか?」 ミハエル 「蒼次郎さんが立っていて、部屋を覗いていました。共由君はあとから来ましたね。」 平太 「一番最初は誰が見つけたんでしたっけ?」 ミハエル 「蒼次郎さんだそうです。」 平太 「そっか…」 ミハエル 「詳しくはご本人に聞いた方が良いと思います。」 平太 「そうですね、明日にでも聞いてみます。 あ、そだ、皆さんに明日お願いしたいことがあったんです。」 ミハエル 「なんですか?」 平太 「長月の鍵が柏陽さんに送られているかもしれないんですよ。 それで、柏陽さんの部屋を探させてほしいので、その許可というか…話をしようと思ってます。」 ミハエル 「僕には決められないですね。詠歌と蒼次郎さんがなんと言うか。」 平太 「やっぱりそこですよね〜。」 ミハエル 「僕も口添えして差し上げられるとは思いますが。」 平太 「お、おねがいします!」 WC 微妙な権力図。 平太 「時期当主も、どちらかが有力なんでしょうかね。」 ミハエル 「さあ?」 平太 「そなんですか? なんかあの二方のどちらかと思ってた。」 ミハエル 「蒼次郎さんはお義父さんの弟で、実権はほとんど握っています。詠歌は一人娘ですが、女性です。」 WC そこに自分の存在も仄めかし。 ミハエル 「共由君も、あながち、権利がないとも思えませんし…」 平太 「共由さんも?」 ミハエル 「むしろ彼が一番近いのかもしれませんね。」 平太 隠し子か… 「へー…そなんだ…よくわからないですね。」 ミハエル 「そうですね。とても魅力的な吐月の力。そこに、伸ばせば届く手を持った住人たち。」 WC 他人事のように言う。 ミハエル 「何がおきたと、思いますか?」 WC 首をかしげ、尋ねながら、さわやかにワラって見せる。 平太 「そんなこというと、権力争いみたいに聞こえますよ。」 冗談で返す。 ミハエル 「そうですね。故人の前で失礼でした。」 WC 軽く胸の前で十字を切る。 平太 「でも…オレには縛られてるようにしか思えないですけどね。」 ミハエル 「あなたは縛られていないのですか?」 平太 「なんというか…まあ、そうですね… 縛られてます。変わらないのか。なにも。」 ミハエル 「どうでしょう。弱い力しか持たないくせに、縛る力だけは強い糸に絡めとられるより。 強い力を持った糸の中心に縛られるなら、それは、縛る側に回ったと思えるかもしれません。」 サヤ でも長期旅行とかできなさそうだもん。 せっかくお金あってもね〜〜、自由に出かけられないのはつまんないよ。 平太 うんうん(笑)。 WC 価値観は人それぞれ。他人の欲しがるものを、「くだらない」と断ずるのも自由。 ちっぽけなメダル1個のために人生を賭けるスポーツ選手も、見方を変えれば「くだらない」。 さて? 平太 「ちなみに、ここの部屋で気になった事とかありますか?」 ミハエル 「どうでしょう。特には。」 平太 「おっと…ちょっとこの辺を歩き回りますけど、気にしないでくださいね。」 ミハエル 「どうぞ。」 |
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| 平太
一番調べたいのは…吹き抜けの左側なんだけどね。
WC 壁? 平太 階段を登って、右手に曲がって、真っ直ぐ行ったところの壁だね。扉が無いんだよね。 WC ないです。 平太 その辺の壁で気になる所。扉を埋め込んであるなら、音が変わるとか…。 WC 特にないですね。…ちなみに、ミハエルから見える場所だと思うのですが。 平太 うん、いいよー。まあ、変な色の違いもないと。 WC もし扉がつぶしてあっても、ちょっと調べたくらいではわからないですね。つまり、痕跡が「ない」かどうかも定かではない、です。 平太 まあ、埋めてあるなら、すっごい綺麗にやってるってことか。 WC 手抜き工事ではないようです。 平太 じゃあ、紅簾の間をぐるっと一周。のぞき窓は、扉の所だけにあるの? WC そうです。 平太 おけ。可能性はないと思うけど、のぞき窓から、柏陽さんを銃で撃ったりできるの? WC 出来そうだよ。 平太 じゃあ、毒の吹き矢とかは(笑)。 WC できるできる(笑)。 つぎは「 まだらの紐 名高き名探偵シャーロックホームズの扱った事件の1つ。 密室で、「まだらの紐…」とだけ言い残して死んだ被害者。 彼はどうやって殺されたのか? 」でも使うか。ガスも良いね。 …密室でも何でもねえよ(笑)。 |
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| 平太
紅簾の間って、取引する以外にも入るんだっけ? ミハエルさんに聞いてみよう。 「ミハエルさん、紅簾の間って取引以外でも入ることはあるんですか?」 ミハエル 「お義父さんは、仕事上で大事なものをここにしまったりしていましたから。そういう意味での『入る』なら。」 平太 うわ最悪…じゃあ、鍵が中にある可能性も。 WC ないわけではない。むしろある。 平太 「そっか…じゃあ、必要な事がないとここには来ないって事なのかな?」 ミハエル 「そうですね、たぶんですが。僕はここに来て日が浅いので、強く断言はできません。」 平太 「そですか…今日は誰かお客さんは来てたんですか?」 ミハエル 「昼間は、来ていたようです。」 平太 「うーん…お客さんが帰った後、柏陽さんは誰かと話をしたりしてたのかな?」 ミハエル 「わかりませんね。僕は、先ほど言ったとおり、アトリエにこもって仕事していましたし。」 平太 「ミハエルさんが最後に話をしたのは、いつ頃ですか?」 ミハエル 「昨晩です。」 平太 「じゃあ、わからないですね。 …オレはそろそろ寝ますね。おやすみなさい。」 ミハエル 「おやすみなさい。良い夢を。」 平太 「ミハエルさんも。」 |
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| WC
そろそろ12時すぎだ。 平太 やっぱり他の人に話聞かないとわかんないな。とりあえず、今晩は終えておくか。 サヤ う〜ん、皆が怪しく見えるぅ。 平太 まあ、そうだね。典型的な殺人事件だね。 サヤ ていうか、これから殺し合いですよ。きっと。 平太 うん、そうでしょ。 春乃介(?) 「そういう時は、一番大物の俳優が犯人さ。」 サヤ へーたんはもう寝る感じ? 平太 部屋に帰って寝るよ。 WC ぐっすり寝るのかね? 武器はどこに置いたかね? 寝たときの服装は? サヤ なんだよ〜〜〜!? 平太 なに? 殺されるの? 普通に寝た。 アイテムは鞄。服装はTシャツとパンツ。 サヤ よわそ〜。 平太 隙だらけだよ(笑)。 サヤ 6時半に目覚ましセット。 |
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