【主人私室】
 |
WC
共由とともに2階へ。共由は部屋の鍵を開ける。
共由
「どうぞ。」
サヤ
「ありがとうございます。」
平太
「失礼します。」
WC
純、とまではいかないが、和風の調度でまとめられた部屋だ。
落ち着いた、渋い雰囲気で、簡素に片付いている。
ベッド、文机、箪笥、衣紋掛などが目に付くだろうか。
平太
まずは「鍵」だね。長月みたいに鍵を掛ける所ありそう?
WC
あるね。2つのフックがあるが、何もかかっていないよ。
サヤ
机はどうでしょ?
平太
あとは、手紙がまとめておいてある所か。
WC
引き出しのない文机は、硯と筆などが置かれており、それ以外に目立つものはない。
書いたもの、あるいはそれをしまう場所は見当たらない。
サヤ
では、仕方ない。箪笥をごそごそしますか。
WC
箪笥は、階段状の和箪笥だ。ちょっと、老年にかかる男性の1人部屋には似つかわしくない。
中には衣類や小物などが納められているだけだ。
平太
「共由さん、隣の部屋ってなにか使ってますか?」
共由
「隣ですか? 空き部屋です。」
平太
「はい、まったく使われて無いですか?」
共由
「御前の奥方が存命の頃はそちらを使われていたようですが。30年ほど前に亡くなられてから、ずっと空き部屋です。」
平太
「そうですか、そっちにしまうって事も無いか。」
階段ダンスの上の天井気にしてみる。天井まで届きそう?
WC
届くね。
平太
共由さんがいてやるべきかどうか…
どうする、さやねぇ? 午後なら、みんなが話し合ってるときにできるけど。
サヤ
別にいいと思うよ。やっちゃお。
平太
じゃあ、登っちゃうよ。靴脱いで階段箪笥登るね。
WC
最上段に上ると、天井までの高さは、へーたが軽く腰を屈める程度の高さだ。
共由は驚いたように見ているが。
平太
天井近くまで行って、押してみるよ。
サヤ
お願いします。
WC
羽目板の一枚が、カタリと、ずれる。
平太
「ビンゴか…」
顔を入れてみるよ。
WC
羽目板を外すと、50cm四方程度の穴が天井に開く。
すぐに上の部屋、という訳ではないようで、まずはコンクリの床板が、そこそこの厚さになっている。
背伸びして、伸ばした鼻先がやっと「上」の部屋に出る。
下からの明かりにぼんやりと、下と同じくらいのサイズの部屋に見える。
平太
片手で登れるのか?(笑)
サヤ
あわわ。
WC
片手では無理だと思うな。
平太
「ちょっとむり! さやねぇ交代! おれライト持ってくるよ。」
サヤ
「私の身長でいけるかな。」
WC
サヤでは身長と腕力が足りないようだ。
平太
ダメなら体かすよ。柏陽さんって身長どのくらいだっけ?
WC
サヤと変わらない。
平太
「なんか登る足場ありそう?」
サヤ
「どうだろ??」
平太
「探してみて。」
サヤ
探してみた。壁?というか穴?というかコンクリの床板とかその辺いったい。
WC
いっぱいに伸ばした腕の先で、ぎりぎり見えない床を探ると、手の先に、丸い棒のようなものが当たる。
引っ張ると動く。
サヤ
え〜、じゃあ、引っ張ります。
WC
ずるずると音がして、穴の上に木組みのHが顔を出す。短い梯子のようだ。
サヤ
お、良かった。
平太
「じゃあ、おれライト持ってくる。」
サヤ
「あ、そっか。おねがい。」
WC
では、引っ張り下ろした梯子を箪笥の上にかけると、丁度上階に行けるようだ。
共由
「これは…驚きました。こんな風になっていたんですね…。」
平太
「うん、オレも驚き。」
サヤ
「お手柄だね、へーたん♪」
平太
「いや、まぐれまぐれ。」
サヤ
じゃ、上りましょ〜。2人とも?
平太
「はしごならいけるかな…。」
サヤ
「うん、たぶん。」
平太
じゃあ、オレも登るよ。
|