【長月館】
WC
では、再び山道を歩き、長月館前。
午後2時。長月館前。
相変わらず、不思議な存在感を持った館が君たちの前に立っている。
平太
「さ、目的地は決まってるし、行こう! さやねぇ!」
サヤ
「は〜い♪」
平太
三階の朝顔の部屋まで行きます。
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サヤ
「へーたん、お願いします!」
平太
じゃあ、手紙に入っていた鍵を取り出します。一応、警戒しながら。
「これで、開くはず…」
WC
3階東端。朝顔の木札かがけられた扉に、鍵を差し込む。鍵穴は静かに回り。
サヤ
とりあえず、後ろで警戒。
WC
中は、調度が限界まで省かれた質素な部屋だ。
片隅に、粗末な寝台と、机。
奇妙な既視感がある。
机の上には、手作りだろうか、小さなブックスタンドが立っている。
サヤ
う〜ん。
WC
既視感の正体は、きっと吐月館の柏陽の部屋だろう。違うのは寝台くらいか。
平太
隠し部屋のほうかな?
サヤ
うん。寝台のサイズは大人用?
WC
大人用だ。そういえば、こちらの「主人の部屋」には、寝台がなかったことを思い出す。
平太
ここで、いったん部屋の確認しておこうか。誰がどこだったか。
サヤ
はい。
ふくよかさん=主人の部屋。
平太
髪を結い上げた女性(絵描き)がアトリエ。
細身(ゾンビ使い)が地下室。
サヤ
老婆(ナナシ)=厨房。
平太
てことは、残りは子供になるんだけど…ベットが大人用で、主人室にはベットが無かったんだよね。
サヤ
とすると、やっぱり主人用の部屋ですかね。
平太
じゃあ、それを含めて、いろいろ調べてみよっか。
WC
下が主人私室あるいは書斎。こっちが主人寝室、と考えるのが妥当だろうか。
サヤ
んだね〜。
平太
書物が英語なら確定かな?
サヤ
う〜ん、地下にあった本も英語ではあったけど。
平太
そっか。
サヤ
とりあえず、下に続くはしごとか、ドアとかないかな〜? と探してみる。
平太
おけー。ブックスタンドに本は立てかけてあるの?
WC
床には特に気になるものはないようです。ブックスタンドも空ですね。
ところが…へーた。
平太
ほい!
WC
フィールで判定どうぞ。目標値9。
サヤ
ガンバレー。
平太
じゃあ、ケアフルで、9でて…
サヤ
お!
平太
フィール4だから10だね。
サヤ
やった!
WC
では、ブックスタンドがわずかに傾いているのに気がつく。歪んでいる、というべきか。
平太
見えない本か!?
サヤ
なんだなんだ〜?
平太
空間がゆがんでるのか、ブックスタンドがゆがんでるかで。よく見てみます。
WC
コの字を横にしたような形のスタンドなのだが、底板は水平にテーブルの天板についている。
しかし、支えの縦板が互いに水平に少しだけ傾いているのだ。なぜだろう?
平太
「さやねえ、これなんか違和感感じない?」
サヤ
「ん??どれどれ?」
WC
逃げだ!
平太
いや、確率アップって言ってくれ!
サヤ
触っても平気?
WC
普通に平気ですね。縦板はちょっとゆるい感じがします。抜けそうな歯って言うか。
サヤ
いやな表現だ。
とりあえず、そのブックスタンドを持ち上げてみようとする。
平太
スイッチぽいのかな?
WC
簡単に持ち上がります。軽いですね。DIY感ばっちり。手作りでしょう。子供の手作り工作みたいですね。
サヤ
「軽いよ〜これ。」
平太
天版と、垂直になってないって事だよね。
WC
そうです。負荷が大きかったのでしょうか。古くなっているのでしょうか。
平太
ふくよかさんが座っちゃった! 正解!
WC
NG回答!
平太
えー(笑)。
サヤ
普通に縦板さわっていい?
平太
元からこうなってはいなかったんだよねきっと。うんうん。
WC
そうですね。釘が緩くなってますね。
サヤ
たぶんね〜。重たいものでも立てかけてたのかな。
WC
常識的にはそうなりますよね。
平太
この部屋でそれっぽいモノあるかな?
サヤ
上からぐりぐり触っても別にはずれたりはしない?
WC
はずれるはずれる!
サヤ
壊れちゃう?
平太
こーわーしーてーるー。
サヤ
壊す前にとりあえず、止めときましょう。
WC
さて、「重たそうなもの」ですが、パッと見では見当たりません。
サヤ
う〜ん。
WC
本当に何もない部屋なのです。
床は板張りのむき出し。申し訳程度に壁は漆喰振りしてありますが、壁紙や壁飾りの類は皆無。
家具も机と寝台だけ。
布団は3枚程度、寝台の上にあるきりです。
平太
これだけがホント異質だね。
サヤ
ちなみに、私が地下から持ってきた本って、サイズ的には納まる?
WC
ちょっと幅が大きいですね。手前にはみ出します。
まあ、その本なら、かなりの確率でブックスタンドをゆがめる重さがありそうですが。
むしろ、ブックスタンドが倒れるかも?
サヤ
そっか。
平太
じゃあ、たけがあまり無くて、重いモノか。
サヤ
ですね〜文庫本サイズ? よりは大きいのかな。
WC
書店販売のハードカバー程度なら。
平太
てことだよね。文庫本だと重さがなさそう。書庫にある本のどれかかな?
サヤ
そうかも…。
平太
ていうか…ここに本があったってだけかもよ。何の本かはわからないけど。
WC
問題は。「何もない」この部屋に「あった本」とは?
平太
ってことだよね。
WC
まあ、机はあるのですが。
サヤ
主人の部屋にも英語の本あったよね。
平太
ちなみに机とか引き出しあったっけ?
WC
ありますよ。大きな本が入りそうなものではないですが、1段だけ。
平太
とりあえず、そこをあけて見ます。
WC
深さ5cmもないでしょうか。薄い引き出しの中は、一見空っぽに見えます。
しかし、奥に、ひっそりと、一通の葉書が置かれています。
平太
ぴらり。
WC
日本語です。
サヤ
おっと。
平太
もちろん読んでみます。
WC
宛名は「長月館・御中」。差出人は「吐月 柏陽」。
平太
旅行先からのはがきか?
WC
いいえ。絵葉書の類ではありません。
平太
官製はがき?
WC
官製でもないですね。和紙刷りの葉書に切手が貼ってあります。40円の。
平太
おお、風流だな…さすが。
WC
そうですね。
裏面は、季節の挨拶が申し訳程度に。そのあと、日常的なちょっとした話題。
不慣れな人間の書いたラブレターみたいな、ちょっとだけ不器用な気遣いが伝わってくるようです。
文章自体は巧いんですけどね。
そして。
『件のもの。くだらねえ友情だが、預かった。
お返しにってんじゃねえが、一つ、相談事に乗ってくれ。
ぱっと死ねる酒とか、ねえもんかな? あったら一本、たのまあ。
お前さんの言う、誼ってやつでよ。』
WC
と、結ばれている。
平太
どんな相談だよ!
サヤ
40円の切手はどれくらい前だったかな…。
2009年現在、葉書1枚の郵送にかかる郵便料金は50円。
1981(昭和56)年から、消費税導入が行われた1989(平成元)年までが、40円切手1枚で葉書を郵送できた期間である。
平太
「これって、柏陽さん、死にたかったって事か?」
サヤ
「ん〜、そう…、かな。どこまで本気かはわからないけどねぇ。」
平太
「このはがきは、たぶん、あの鍵の入った封筒のあとだよね?」
サヤ
「そうだね。」
平太
とりあえずはがき持っておこう。
WC
と、葉書を取り上げたその場所に。
葉書に隠されるようにして、小さな折紙が見つかる。薬包のような折り方をされている。
平太
薬かな? 振ってみる。
WC
ちょっと重さのあるものが入っているようです。
粉や蝉の抜け殻ではなさそうですね。
平太
じゃあ、落とさないように開こう。
サヤ
うんうん。
WC
時計草の木札と、鍵が一つ。
サヤ
鍵だ〜〜〜〜!!
WC
包み紙には、英語が走り書きしてあります。
平太
またかい!
サヤ
えいご〜〜目標値は?
WC
簡単な文章です。英文科8。高校生9。
サヤ
じゃ、へーたん、勉強だよ。
平太
やめてよ! 電子辞書使ってよ!
平太(?) 「英語って聞くと古傷がうずくんだ…。」
憂いを含んだ美少年顔で。
サヤ
さすがに使うまでもない気が…。
平太
背中で語る「英語嫌い」。または顔に書いてある。
平太(?) 「僕の事、守ってくれるよね?(CV:保志総一郎)」
平太
オレやるの? ホントに?
WC
ほんとにキライなんだね。
平太
オレほんと英語きらいあるよ。
WC
中国語は好き?
平太
ううん。食べたこともない。
サヤ
辞書やっぱり使うか。ノーマルで、8でた。
平太
本領発揮だね。
WC
「こちらのサルーンの鍵が、偶然、吐月館の3階の部屋の鍵と合ってしまったようなので、後日打ち直しを頼む。
柏陽さんは笑って、『それも面白くて良いだろう』なんて言っていたけど、不思議なこともある。不思議な縁があるようだ。
記念にとっておこうか。」
平太
これは!
サヤ
「へーたん! どうしよ〜〜〜!」
平太
「走ろう!!」
サヤ
「えー!?」
平太
はがきと鍵を持って走りますよ。
サヤ
バタバタ。長月のサルーンの鍵ってことですよね? これ。
WC
そう読める。
平太
紅簾でもあるんだよね。
WC
そうも読める。
平太
じゃあ、そっちだろ。吐月!
サヤ
はーい!
開けさせてくれればいいけどね。あっちの人達が。それだけは心配だけど。
平太
いや、結局自殺なら、誰も恨んでなかったし。
サヤ
ううん。そうでなく。次の当主決まるまで勝手に触るな〜って。
平太
ああ、ルール的な?
サヤ
うんうん。
平太
大人の引いたレールに乗る必要ない。死体を出すだけでもいいでしょ。それが、人道でしょ?
ここの捜索はいつでもできるでしょ?
サヤ
私はOKよ。初めから柏陽さんあのままにしておくのがすごく嫌だったから。
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