虚空の翼

◆2話 ◆

うつつにうつるはまぼろしの
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死の真相
 
【長月館】

WC  では、再び山道を歩き、長月館前。 
午後2時。長月館前。 相変わらず、不思議な存在感を持った館が君たちの前に立っている。

平太  「さ、目的地は決まってるし、行こう! さやねぇ!」

サヤ  「は〜い♪」

平太  三階の朝顔の部屋まで行きます。

サヤ  「へーたん、お願いします!」

平太  じゃあ、手紙に入っていた鍵を取り出します。一応、警戒しながら。 「これで、開くはず…」

WC  3階東端。朝顔の木札かがけられた扉に、鍵を差し込む。鍵穴は静かに回り。

サヤ  とりあえず、後ろで警戒。

WC  中は、調度が限界まで省かれた質素な部屋だ。 
片隅に、粗末な寝台と、机。 奇妙な既視感がある。 机の上には、手作りだろうか、小さなブックスタンドが立っている。

サヤ  う〜ん。

WC  既視感の正体は、きっと吐月館の柏陽の部屋だろう。違うのは寝台くらいか。

平太  隠し部屋のほうかな?

サヤ  うん。寝台のサイズは大人用?

WC  大人用だ。そういえば、こちらの「主人の部屋」には、寝台がなかったことを思い出す。

平太  ここで、いったん部屋の確認しておこうか。誰がどこだったか。

サヤ  はい。 ふくよかさん=主人の部屋。

平太  髪を結い上げた女性(絵描き)がアトリエ。 細身(ゾンビ使い)が地下室。

サヤ  老婆(ナナシ)=厨房。

平太  てことは、残りは子供になるんだけど…ベットが大人用で、主人室にはベットが無かったんだよね。

サヤ  とすると、やっぱり主人用の部屋ですかね。

平太  じゃあ、それを含めて、いろいろ調べてみよっか。

WC  下が主人私室あるいは書斎。こっちが主人寝室、と考えるのが妥当だろうか。

サヤ  んだね〜。

平太  書物が英語なら確定かな?

サヤ  う〜ん、地下にあった本も英語ではあったけど。

平太  そっか。

サヤ  とりあえず、下に続くはしごとか、ドアとかないかな〜? と探してみる。

平太  おけー。ブックスタンドに本は立てかけてあるの?

WC  床には特に気になるものはないようです。ブックスタンドも空ですね。 ところが…へーた。

平太  ほい!

WC  フィールで判定どうぞ。目標値9。

サヤ  ガンバレー。

平太  じゃあ、ケアフルで、9でて…

サヤ  お!

平太  フィール4だから10だね。

サヤ  やった!

WC  では、ブックスタンドがわずかに傾いているのに気がつく。歪んでいる、というべきか。

平太  見えない本か!?

サヤ  なんだなんだ〜?

平太  空間がゆがんでるのか、ブックスタンドがゆがんでるかで。よく見てみます。

WC  コの字を横にしたような形のスタンドなのだが、底板は水平にテーブルの天板についている。
しかし、支えの縦板が互いに水平に少しだけ傾いているのだ。なぜだろう?

平太  「さやねえ、これなんか違和感感じない?」

サヤ  「ん??どれどれ?」

WC  逃げだ!

平太  いや、確率アップって言ってくれ!

サヤ  触っても平気?

WC  普通に平気ですね。縦板はちょっとゆるい感じがします。抜けそうな歯って言うか。

サヤ  いやな表現だ。 とりあえず、そのブックスタンドを持ち上げてみようとする。

平太  スイッチぽいのかな?

WC  簡単に持ち上がります。軽いですね。DIY感ばっちり。手作りでしょう。子供の手作り工作みたいですね。

サヤ  「軽いよ〜これ。」

平太  天版と、垂直になってないって事だよね。

WC  そうです。負荷が大きかったのでしょうか。古くなっているのでしょうか。

平太  ふくよかさんが座っちゃった! 正解!

WC  NG回答!

平太  えー(笑)。

サヤ  普通に縦板さわっていい?

平太  元からこうなってはいなかったんだよねきっと。うんうん。

WC  そうですね。釘が緩くなってますね。

サヤ  たぶんね〜。重たいものでも立てかけてたのかな。

WC  常識的にはそうなりますよね。

平太  この部屋でそれっぽいモノあるかな?

サヤ  上からぐりぐり触っても別にはずれたりはしない?

WC  はずれるはずれる!

サヤ  壊れちゃう?

平太  こーわーしーてーるー。

サヤ  壊す前にとりあえず、止めときましょう。

WC  さて、「重たそうなもの」ですが、パッと見では見当たりません。

サヤ  う〜ん。

WC  本当に何もない部屋なのです。 
床は板張りのむき出し。申し訳程度に壁は漆喰振りしてありますが、壁紙や壁飾りの類は皆無。 家具も机と寝台だけ。
布団は3枚程度、寝台の上にあるきりです。

平太  これだけがホント異質だね。

サヤ  ちなみに、私が地下から持ってきた本って、サイズ的には納まる?

WC  ちょっと幅が大きいですね。手前にはみ出します。 
まあ、その本なら、かなりの確率でブックスタンドをゆがめる重さがありそうですが。 むしろ、ブックスタンドが倒れるかも?

サヤ  そっか。

平太  じゃあ、たけがあまり無くて、重いモノか。

サヤ  ですね〜文庫本サイズ? よりは大きいのかな。

WC  書店販売のハードカバー程度なら。

平太  てことだよね。文庫本だと重さがなさそう。書庫にある本のどれかかな?

サヤ  そうかも…。

平太  ていうか…ここに本があったってだけかもよ。何の本かはわからないけど。

WC  問題は。「何もない」この部屋に「あった本」とは?

平太  ってことだよね。

WC  まあ、机はあるのですが。

サヤ  主人の部屋にも英語の本あったよね。

平太  ちなみに机とか引き出しあったっけ?

WC  ありますよ。大きな本が入りそうなものではないですが、1段だけ。

平太  とりあえず、そこをあけて見ます。

WC  深さ5cmもないでしょうか。薄い引き出しの中は、一見空っぽに見えます。 
しかし、奥に、ひっそりと、一通の葉書が置かれています。

平太  ぴらり。

WC  日本語です。

サヤ  おっと。

平太  もちろん読んでみます。

WC  宛名は「長月館・御中」。差出人は「吐月 柏陽」。

平太  旅行先からのはがきか?

WC  いいえ。絵葉書の類ではありません。

平太  官製はがき?

WC  官製でもないですね。和紙刷りの葉書に切手が貼ってあります。40円の。

平太  おお、風流だな…さすが。

WC  そうですね。 裏面は、季節の挨拶が申し訳程度に。そのあと、日常的なちょっとした話題。 
不慣れな人間の書いたラブレターみたいな、ちょっとだけ不器用な気遣いが伝わってくるようです。 
文章自体は巧いんですけどね。 そして。

『件のもの。くだらねえ友情だが、預かった。 お返しにってんじゃねえが、一つ、相談事に乗ってくれ。 
ぱっと死ねる酒とか、ねえもんかな? あったら一本、たのまあ。 お前さんの言う、誼ってやつでよ。』

WC  と、結ばれている。

平太  どんな相談だよ!

サヤ  40円の切手はどれくらい前だったかな…。 2009年現在、葉書1枚の郵送にかかる郵便料金は50円。
1981(昭和56)年から、消費税導入が行われた1989(平成元)年までが、40円切手1枚で葉書を郵送できた期間である。


平太  「これって、柏陽さん、死にたかったって事か?」

サヤ  「ん〜、そう…、かな。どこまで本気かはわからないけどねぇ。」

平太  「このはがきは、たぶん、あの鍵の入った封筒のあとだよね?」

サヤ  「そうだね。」

平太  とりあえずはがき持っておこう。

WC  と、葉書を取り上げたその場所に。 葉書に隠されるようにして、小さな折紙が見つかる。薬包のような折り方をされている。

平太  薬かな? 振ってみる。

WC  ちょっと重さのあるものが入っているようです。
粉や蝉の抜け殻ではなさそうですね。

平太  じゃあ、落とさないように開こう。

サヤ  うんうん。

WC  時計草の木札と、鍵が一つ。

サヤ  鍵だ〜〜〜〜!!

WC  包み紙には、英語が走り書きしてあります。

平太  またかい!

サヤ  えいご〜〜目標値は?

WC  簡単な文章です。英文科8。高校生9。

サヤ  じゃ、へーたん、勉強だよ。

平太  やめてよ! 電子辞書使ってよ!

平太(?)  「英語って聞くと古傷がうずくんだ…。」 憂いを含んだ美少年顔で。

サヤ  さすがに使うまでもない気が…。

平太  背中で語る「英語嫌い」。または顔に書いてある。

平太(?)  「僕の事、守ってくれるよね?(CV:保志総一郎)」

平太  オレやるの? ホントに?

WC  ほんとにキライなんだね。

平太  オレほんと英語きらいあるよ。

WC  中国語は好き?

平太  ううん。食べたこともない。

サヤ  辞書やっぱり使うか。ノーマルで、8でた。

平太  本領発揮だね。

WC  「こちらのサルーンの鍵が、偶然、吐月館の3階の部屋の鍵と合ってしまったようなので、後日打ち直しを頼む。 
柏陽さんは笑って、『それも面白くて良いだろう』なんて言っていたけど、不思議なこともある。不思議な縁があるようだ。
記念にとっておこうか。」

平太  これは!

サヤ  「へーたん! どうしよ〜〜〜!」

平太  「走ろう!!」

サヤ  「えー!?」

平太  はがきと鍵を持って走りますよ。

サヤ  バタバタ。長月のサルーンの鍵ってことですよね? これ。

WC  そう読める。

平太  紅簾でもあるんだよね。

WC  そうも読める。

平太  じゃあ、そっちだろ。吐月!

サヤ  はーい! 開けさせてくれればいいけどね。あっちの人達が。それだけは心配だけど。

平太  いや、結局自殺なら、誰も恨んでなかったし。

サヤ  ううん。そうでなく。次の当主決まるまで勝手に触るな〜って。

平太  ああ、ルール的な?

サヤ  うんうん。

平太  大人の引いたレールに乗る必要ない。死体を出すだけでもいいでしょ。それが、人道でしょ? 
ここの捜索はいつでもできるでしょ?

サヤ  私はOKよ。初めから柏陽さんあのままにしておくのがすごく嫌だったから。 

 
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