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物語を創るTRPG 「物語を創るTRPG」(岩間)



  1. 物語を作るTRPGを目指そう
  2. 物語じゃないTRPGはこれだ
  3. 物語を作る人は誰か
  4. TRPG物語のSSP
  5. 物語を作るために「システム」と「シナリオ」のシンクロ率を大事にする
  6. 物語を演出する「ヒーローポイント」について
  7. 効果的な「ヒーローポイント」の簡単導入方法
  8. TRPGで物語を作るために「シナリオ」に準備するモノとは?
  9. シナリオとプレイヤーをつなげる「アンカーNPC」の注意

物語を作るTRPGを目指そう

「TRPGで物語を作ろう!」、なんと当たり前の事をこの人は言っているんだろう…と思うかもしれない。
でも、現在、TRPGで面白い物語が作られているかといったら、胸を張って「私は面白い物語を作っている!」と手を上げられるTRPGプレイヤーはどのくらいいるでしょうか?
そういう人がいたら、自薦他薦を問わないので教えて欲しいです。
掲示板にサイトURLなどを張ってくれれば、すぐ読みに行きます。

ちなみに私は、個人サイトで公開しているリプレイを読んで、面白いと思った所は「夢忠工房」だけでした。そのぐらい、面白いと思える物にあいません。

で、なんで面白くないのかを考えて見ると、根本的に「物語」ですら無かったりする場合があります。
例えば、酒場で宝の噂を聞いて、ダンジョンに入って、そこに暮らしてるゴブリンを殺して、宝を奪って帰ってくるとか、これは物語じゃ無いです。これは、たぶんダンジョン探索の作業記録とかそういう奴です。それも、なんかグダグダと目的も無く、「なんでダンジョンに行ったんですか?」と訪ねられたら、「そこにダンジョンがあるから」とか答えるレベルです。山男か!ダンジョン男、ブリックロードかと!言いたい。

TRPGは物語を作ることのできる唯一のゲームなので、目指すのは「物語を作るTRPG」だろ!おい!目を覚ませよ!という、お話でした。

P.S 本当に面白いリプレイを読んでみたいです。

物語じゃないTRPGはこれだ

「物語、物語うるせーよ!TRPGをプレイすれば、最終的に物語が出来上がるんだよ!」って人はまだいると思います。
よくあるこんなシナリオで、物語になるかどうか、検証してみましょう。

1.酒場で「仕事ない?」って聞いたら、ダンジョン探索の依頼があった。
2.そのダンジョンに行って、ダンジョンを徘徊して、モンスターと戦い、宝物を見つけた。
3.酒場に帰って、報告をした。報酬を貰って、ダンジョンで拾った武器を鑑定したらマジックウエポンだった。
4.キャラクターが強くなった。やったー!ハッピーエンド

TRPGを始めたばかり時に、ありがちなシナリオです。
ここで登場した会話は、NPCの酒場マスターとの会話と、あとはプレイヤー達のダンジョン探索や、戦闘の会話でしょう。
これをリプレイにした時、物語と言えるでしょうか?
たぶん、これは宝物探しゲームの報告書か会話ログです。読んで楽しいのは、参加したプレイヤーとGMぐらいでしょう。(笑いどころは、サイコロの目が良かった悪かったとかそんな感じ。)

このプレイがダメというわけではありません。これはこれでTRPGのひとつの遊び方です。でも、こういうのって、いまTRPGでやる意味があるのでしょうか?ネットゲームとかで遊べるんじゃないかな?

「TRPGで物語を作ろう!」とは、第三者(ゲームに参加していなかった人)が読んで面白い作品を産み出そう!という意味で言っています。
身内の中で楽しむのはOKですが、TRPGはせっかく物語が作れるんだから、みんなで作っていきませんか?

物語を作る人は誰か

クイズです。
問1.TRPGで物語を作る人は誰でしょうか。

考えて見て下さい。



さあ、答えが出たでしょうか?
もし、「GM」と答えたなら、はずれです。
GMが作るのはシナリオであって、物語ではありません。
GMをやっている人が、この「GM」という答えを口に出していたら、ちょっと心配ですね。
あなたは、PCを置いてきぼりにして、NPCだけでシナリオを進めようとしてはいませんか?



もし、「PL」または「PC」と答えた方がいたら、それもはずれです。
そのような回答をしたあなたがPLなら、これも心配ですね。
GMが用意したシナリオを、ただのナゾナゾのように受け取っていませんか?
答えを出せばそれでいい…
ダンジョンのモンスター退治を依頼されたら、ダンジョンに火を放つとか。
悪の組織は、会話もしないで皆殺しにすれば、世界は平和になるとか思っていませんか?



答えは、「参加者みんなで作る」です。
物語といえば、本とか映画ですよね。物語には、話の流れと音と映像が必要になってきます。
GMが作ったシナリオに、PLが会話で音を、行動で映像を与える、こう考えるとわかりやすいかもしれません。

「そんなことは当たり前だ!」と言っている人は、問題ないのですが。
上記のようなGMとPLがTRPG界には存在していて、いろいろ問題を起こしているのも事実なので、一応、取り上げてみました。

あなたは、TRPG界の問題児になっていませんか?

TRPG物語のSSP

TRPGで物語を作るためには、3つの要素を気にする必要があります。
「システム(System)」「シナリオ(Scenario)」「プレイ(Play)」です。
この3つの頭文字をとって、TRPG物語のSSPといいました。

TRPGにおいて、物語の面白さには計算式があります。

「物語」 = 「S:システム」 × 「S:シナリオ」 × 「P:プレイ」
(As you like itのTRPG物語のSSP)


です。

「システム」:世界のルールで、すでに決まっている物です。
「シナリオ」:GMが作る物語の道筋。
「プレイ」:実際に遊ぶ工程。GMとPLのやりとり、会話、行動。

これを覚えておいて欲しいです。
すっごい素敵な10点満点の「システム」があって、GMが10点満点のかっこいい「シナリオ」を作っても、プレイヤーが黙っていたり、家の中にこもって冒険に関与しなかったりする0点の「プレイ」は、「物語」の総合得点は0点となります。
当たり前ですね。

なので、TRPGで物語を作りたいと言うのなら、この3つの要素を気にしましょう。

物語を作るために「システム」と「シナリオ」のシンクロ率を大事にする

サークル「As you like it」はオリジナルのシステムを数多く作っています。
といっても、世間に公開しているシステムは、数本しかありません。
公開していないものは、「天使の詩」「ポポロクロイス物語」「イース」など、テレビゲームの世界や、「金色のガッシュ」「ジョジョの奇妙な冒険」「バーンナップエクセス&ダブリュー」などのアニメ、マンガの世界、その他には「異能力者」「学園もの」などの汎用ルールもあります。

なぜ、こんなにオリジナルのシステムが存在するかというと、市販のシステムでGMが作りたい物語が作れないからです。
市販のシステムが悪いとか言うわけではなくて、凝り性のGMが物語にこだわりと、作りたいゲームやマンガの世界を再現するために、そうした結果そうなってしまいました。

で、何が言いたいかというと、システムが物語に与える影響はとても大きいです。
例えば、時代劇の物語を作り、その中で剣豪同士が、手の内の読み合いをする戦いをしたいとします。
それを、ドラゴンクエストの世界で表現できるかと言ったら・・・コマンドは「たたかう」「にげる」「じゅもん」「どうぐ」しかないし、お互いに斬り合う戦闘ターン制のシステムで、緊張感が無いし、高価な刀を持っていて、レベルが高い方が剣豪となってしまいます。それでは、物語がかっこよく無いですよね。
この場面を表現するなら、手の内の「読み合い」をすることができるシステムを使わなくてはいけません。

こんな感じで、システムを選ぶときは、作りたい物語の場面を想像し、表現できるシステムを選びましょう。
まあ、だいたいの方は世界にあわせて物語を作ると思いますので、その辺は大丈夫だと思います。

物語を演出する「ヒーローポイント」について

「物語」にあわせて、「システム」を選択すると言ったけど、もう一つ物語を面白くする機能があります。それは「ヒーローポイント」と呼ばれるポイントです。
この「ヒーローポイント」はまさに、TRPGで物語を作るために生まれてきた機能だと言えるでしょう。

例えば・・・
判定をしなくても「成功」という結果にする。
サイコロで出目が悪かった時に、再度振り直す事ができる。
うちに眠っている、超必殺技を出す。
・・・などなど。

かっこよくキメたい場所でキメる、失敗するとかっこわるい場所を、なんとか乗り越える。
サイコロの目だけの偶然に頼ってきた演出に、PCが関与を許される唯一の演出ですね。
面白い物語を作りたいなら、「ヒーローポイント」は無くてはならない機能です。

しかし、このポイントを使うときにひとつ要求をしてもいいですか?
「じゃあ、ヒーローポイントを使って、必殺技を撃つよ(ころころころ)。はい成功ね。」
これではダメです。これではせっかくの演出機会を捨ててしまっています。
そういう時は・・・
「もう堪忍袋の緒が切れまくったぜ!このゲスやろう!そんなテメエにはこの技だ!俺の超魔法で平たくなれ!超重力加重爆破『グラビディドーン』(ころころころ)。失敗。」
ぐらい必要です。これをやらずにヒーローポイントは使ってはいけません。

効果的な「ヒーローポイント」の簡単導入方法

「ヒーローポイント」の続き。
システムによっては「ヒーローポイント」用意されていない場合があります。
そのシステムで物語を「ヒーローポイントを使って演出をしたい!」思ったらどうしたらいいのか・・・
その場合に、サークルでよく使われている「ヒーローポイント」をシステムに導入するのをオススメします。

そのヒーローポイントの名前は「加護」といいます。
効果は、シナリオ作成のGMにお任せします。サイコロを振り直すでも、必殺技が打てるでもいいです。システムが崩壊しない程度に、効果を設定してください。
重要なのは、効果よりも「加護」というヒーローポイントが、どのようなモノかと言うことですね。

加護は「そのキャラクターの幸せを祈ってくれる人の数」です。
キャラクター自身が持っている能力では無くて、キャラクターが物語を通して、他者(NPC)にどれぐらい貢献したのかを、加護というポイントで表現しているものです。
簡単に言うと、「いいことをすると自分に返ってくるよ」という事。人はいいことをするたびに、幸運が訪れます。ちょっと宗教的ですが。
ちなみに、逆に悪いことをすると、実生活に悪い結果が訪れます。因果応報と呼ばれています。
この場合の名前は「恨み」「呪い」などと呼ばれますね。

まずキャラクター作成時は、加護をは2ポイントとします。
キャラクターを産み育ててくれた両親の分ですね。兄弟がいるのであれば、その分を加算しますが、そこまでするとめんどくさいので、2ポイントが妥当でしょう。

その後の獲得は、「加護」はシナリオクリアの最終結果な結果で、経験値と同じタイミングで与えるのがいいでしょう。
シナリオの中でPCがNPCを助け、NPCがPCに感謝したり、NPCとの会話を楽しんでNPCからの好感度(恋愛感情など)が上がったりした場合に、キャラクターにポイントを与えてください。
獲得するのは、シナリオに参加したPC全員の場合もあるし、シナリオで一番活躍した人の場合もあるでしょう。

この「加護」利点は、物語の演出だけで無く、キャラクター達が物語で人を助けることに重点を置くようになることです。
NPCと積極的に絡むようにもなりますので、物語も面白くなっていくという相乗効果もあります。
あと、NPCの好意を感じ取れば、物語の中で恋愛という演出も可能でしょう。

どうでしょう、「加護」というヒーローポイントを、システムに導入をしてみてみませんか?

TRPGで物語を作るために「シナリオ」に準備するモノとは?

私自身、GMの経験が少ないので偉そうに講釈をたれる事ができないのだけれども、物語を作ると言う点で「シナリオ」の中に入れておくと、物語が作りやすくなる要素はあります。

それは、NPCとの交流です。

よくある物語が作れない問題点に、プレイヤーが物語の中に入らずに、遠くからとか、天から見下ろす形でゲームに参加している場合があります。まあ、言うなれば神の目線ですね。
「ふむふむ、今日も下界では問題がいろいろ起きているな、どれ、ワシが出てササッと解決してやろうかの~」とか言う感じです。
で、救世主気分で世界に参加してくる神様達は、下界の人間(NPC)の言うことには耳も貸さず、天上界(シナリオの外)で神様(プレイヤー)だけで計画を立てて実行します。
そうなると、シナリオは「会話」よりも内輪な戦略的な話が多くなってしまうために、物語として面白くなくなります。

物語は、「シナリオ」の中で起きる。
プレイヤーの会話が、世界から離れて行われたとき、そこに物語はできません。
なので、GMはプレイヤーを世界につなぎ止めるために、「アンカー(碇)」としてのNPCをシナリオに用意してください。
「アンカーNPC」には、次の2つの方法で、プレイヤーを物語につなぎ止めます。

ひとつは、シナリオ解決に重要な役割をもたせる方法。

この方法は、アンカーNPCとの会話をしないで、シナリオは次の段階に進ませないと言う方法ですね。
重要な情報や、キーとなる行動がアンカーNPCにあれば、「会話」をするしか無くなります。

もうひとつは、プレイヤーだけで作戦を立てている時に、「作戦」を「会話」に変えると言う役割です。

プレイヤーだけで、話を始めたら、横から作戦に対しての意見をNPCの「会話」で参戦するのです。
そうすることで、プレイヤーはNPCに反論があれば「会話」で返さなければいけなくなるので、「作戦」が「会話」として残り、物語の一部になります。

たた、それだけで、物語が出来上がる訳です。
でも、この「アンカーNPC」にも気をつけなければならないことがあります。この話は、また、明日にでも。

シナリオとプレイヤーをつなげる「アンカーNPC」の注意

前回、シナリオとプレイヤーをつなげるために、NPCを使うといいよと言う話をしました。
ここでは「アンカーNPC」と呼んでいます。

NPCはPCとGM間にいる存在です。アンカーNPCはその中で、どちらかと言うとPC寄りのキャラクターになります。主人公が魔法少女なら、魔法少女の横でフラフラ飛び回っている動物のような妖精のような生き物が、アンカーNPCと言えるでしょう。

このアンカーNPCはPCの仲間のような立ち位置にいるので、GMの気持ちが伝えやすくなります。例えば、シナリオから外れた行動をしようとするPCに、「こっちの道が怪しくない?」とか言って、を元の道に戻したり、人の道から外れた行動をしようとするPCに、「この外道が!」と突っ込みを入れて、元の道に戻したりもできます。

しかし、ここで注意する事は、PCの仲間のようなものなので、GMがダイレクトな情報を出しすぎると、プレイヤーが頼りきりになったり、シナリオがつまらなくなったりする事です。
情報の提供は慎重に、あくまでもPCとの「会話」の方に重点を置いて、「物語」をうまく誘導するように、アンカーNPCを取り扱いましょう。まあ、この辺はGMの腕にかかってしまいますけど。

最後に、アンカーNPCは「情報提供」「作戦提案」「会話」というお仕事をメインにするので、強くなくていいです、戦う必要もありません。
逆に弱い方がいいですね、弱いのだけれども、自分のするべき仕事がわかっていき、その仕事をこなすためなら、一人でも戦い命を投げ出す覚悟がある、そんなキャラクターがいいでしょう。
なんというか、「お金を払うからこの仕事やってくれ、うまく行くことを、祈っている。じゃ!」と言う、NPCと、「おれのために力を貸してくれ、こういう作戦があるんだ」という
NPCどっちの方に力を貸したいと思うかですよね。

まあ、これは私の趣味ですけど・・・やっぱり後者じゃないですか?


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